メール対応に熟練した人材不足を解消、BPO企業と生成AIのコラボで生まれる新たな価値|マスターピース・グループ株式会社

複数の国々でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを展開するマスターピース・グループ株式会社。コンタクトセンターサービスなど、多岐にわたる業務を手がける企業だ。

彼らは思わぬ課題に直面していた。電話応対のスキルは高いものの、メールの文章作成に苦戦するオペレーターが多かったのだ。品質管理のため、「オペレーターによる下書き作成→管理者による確認」というフローを導入。だが、これが管理者の本来業務を圧迫する事態を引き起こしていた。

この問題に、マスターピース・グループはどのようにアプローチしたのか?その答えは、意外にもAIの中に隠されていた——。

BPO業界に新たな可能性を示す、その巧妙な”からくり”に迫る。

マスターピース・グループ株式会社について

まず、マスターピース・グループ株式会社について教えてください

マスターピース・グループは、「ヒトとテクノロジーの共存によって人々の時間を豊かにする」ことをテーマとして、幅広いITソリューションとコンサルティングサービスを提供する企業です。コンタクトセンターの運営やCRMの構築、カスタマーサポートの強化を通じて、応対品質の向上、効率化、コスト削減を実現してきました。また、最新のテクノロジーを活用したシステム開発や運用支援を行い、企業の成長をサポートしております。

電話対応は得意、でもメールは苦手? BPO企業が直面した意外な課題

当時どのような課題を抱えていましたか?

コンタクトセンター業務を請け負う当社では、全体的な課題としてメール対応に熟練した人材の不足がありました。社会人経験が豊富なスタッフはメール対応の経験があるためスムーズに業務を行うことができますが、アルバイトやパートの方々は、電話対応はできてもメール作成の経験が少ない場合が多く、メール対応者が限られてしまう状況でした。

その結果、管理者が1日に50件から60件のメール返信を行わざるを得なくなり、管理業務に集中できないという問題が発生しました。一次メールの作成をアルバイトやパートの方に任せても、最終的なチェックは必要であり、管理者の負担は軽減されませんでした。

また、自分が作ったメールでお客様が怒ったり、不快な思いをさせたりしないかという不安を抱えているオペレーターも少なくありませんでした。

そんな時にKARAKURI assistと出会ったんですね。最初の印象はいかがでしたか?

やはり、電話対応ができて言いたいことを正確に伝えられる人は多いですが、ビジネスレベルの文章を作成するのは難しいと感じていましたし、シンプルで分かりやすくお伝えする文章が書けないというのも大きな課題でした。KARAKURI assistの生成AI機能を見た時には、「絶対いけるな」と思いました。

仕組みとしていいなと感じているのが、Chromeの拡張機能という形を取っているところです。Chromeさえ使えれば、どの画面でも対応できるという点ですね。例えば、ChatGPTのような別のツールで文章を作らせようと思ったら、画面切り替えなどの手間が発生してしまいます。細かいことのようですが、毎回メールを作成する日々の業務では非常に大きなことです。メールを使う側の処理の流れにすごく合っていると思います。

特に印象深かったのは、最初に見せていただいたクレーム対応のデモです。対応方針を箇条書きでいくつか入力するだけで、あとは事前に用意されているプロンプトに従って返信文が生成されたのがとても刺さりました。今では、取り扱い説明書やFAQの内容を箇条書きでコピペして返信文を生成するといったことを積極的に行っています。

クレーム対応という点では、お客様から厳しい言葉やご指摘のメールを受けることが多いため、オペレーターがメールを作成する際の負担やストレスを軽減できる点が非常に大きいです。

生成AIの活用にはセキュリティの問題がつきものです。どのようにハードルを超えたのでしょうか?

弊社が生成AIの業務活用の優位性を感じていても、最終的な利用可否はクライアント様が判断するため、便利なツールであっても使える業務とそうでない業務があります。現在は家電ECの業務で活用していますが、生成AI導入前に、個人情報の入力を行わないこと、品質の高いメールの文章を効率を上げて対応できることによる顧客満足度の向上を目的として導入することをご説明させていただき、業務活用をご了承頂きました。

ストレス軽減と処理時間短縮で、オペレーターが活き活きと働ける環境へ

KARAKURI assistを活用して、どのような変化がありましたか?

他のユーザー企業様のインタビュー記事にもありましたが、お礼メールが増えました。意外かもしれませんが、不慣れな人が作るよりもAIが作った文章の方が温かみがあるようです。

導入当初、これでいけると自分は思っていましたが、実際に使用するのはオペレーターの方々です。彼らが本当に受け入れてくれるか心配でしたが、オペレーターが言いたいことを正確にメールの内容に変えてくれる点が非常に助かりました。使い勝手も良く、ボタン設定で文章の丁寧さや文字数を選べるので、スムーズに導入が進みました。文章を考える作業がなくなったことで、処理効率が1件あたり少なくとも5分は短縮されています。

文章を考えるストレスがなくなったことで、オペレーターがメール対応を楽しんでいるように感じます。文章が苦手な方にとっては、自分で一から考えるのは大変で、その作成した内容に対するお客様の反応がわからないため、不安に感じていました。しかし、現在ではその不安が解消され、逆に感謝の言葉が増えたことで、オペレーターのストレスや負担も軽減されています。精神衛生的にも優しい環境が作られていると思います。

企業の生成AI活用は、組織内で生成AIに興味を持ち、積極的に取り組む人材の育成や採用が課題となりますが、どのように取り組んでいますか?

KARAKURI assistを活用している家電ECの業務では、あるSV(スーパーバイザー)がプロンプトの工夫など、非常に積極的にAI活用に取り組んでいます。その方は、不便さに対して疑問を持ち、なぜそれを行うべきなのか、目的を明確にしてから行動するタイプです。

SVの社員は目の前の仕事に集中してしまい、改善や変化に対して自ら動くことに消極的な場合が多いです。本社やAI推進担当から「このように使ってください」と指示があっても、なかなか使われないことがあります。

自分のためになり、便利で楽になることに対して非常に積極的なタイプなので、生成AIの活用に向いているようです。

採用難のハードルを緩和、生成AIが生み出す新たな価値

KARAKURI assistを他のBPO事業者におすすめするとしたら、どのような点でしょうか?

結局、このBPOやコールセンター業界では、人材の採用や確保がずっと課題になっています。AIでできることはどんどん切り替わっていくと思いますが、人が全く不要になることはないでしょう。その中で、メール対応業務については、KARAKURI assistで一つ採用条件を緩和できると思います。メールや文章でのやり取りが増えている中で、アルバイトでメール経験のある方を採用するのは難しいですから。

もちろん、業務負荷の軽減や品質向上も期待できますが、新しい視点として、採用における募集要項が一つ減ることは非常に価値があると思います。

後の取り組みについて考えていることを教えてください

KARAKURI assistの自動メール下書き機能を使って、営業時間外に届いたメールにもなるべくお客様を待たせずに対応したいと考えています。クライアント様に相談して、もし承認が得られればぜひ取り組みたいですね。






本社:東京都港区西麻布1-8-12 MPG西麻布ビル
設立:1992年9月1日
従業員数:1,216人(2021年12月末現在)
事業内容:各種カスタマーサービス事業、ソーシャルリスクマネージメント事業、SNSマーケティング事業
企業公式URL:https://www.m-piece.com/

【取材に対応していただいた方々】
マスターピース・グループ株式会社 大分センター マネージャー 廣瀬 晋也 氏

業種ごとに複数の事例をまとめた導入事例集で
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事例でご紹介した企業

マスターピース・グループ株式会社

本社:東京都港区西麻布1-8-12 MPG西麻布ビル
設立:1992年9月1日
従業員数:1,216人(2021年12月末現在)
事業内容:各種カスタマーサービス事業、ソーシャルリスクマネージメント事業、SNSマーケティング事業

https://www.m-piece.com/

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