リアルタイムに問い合わせ傾向を把握し対応 | 三井ダイレクト損害保険株式会社

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「自動車保険を、もっとやさしく」することが企業ミッション

 人はより大きな安心を得たいとき、保険を考える。スピードと投資対効果が求められる現代、三井ダイレクト損害保険株式会社は、インターネットと電話で契約する通販型損害保険会社としてニーズに応え続けている。顧客対応に力を入れていることで知られ、2018年12月には、HDI-Japanの「問合せ窓口」、「Webサポート」を対象とした格付けで、通販型損保業界で初めて「五つ星認証」を取得した。

 同社のブランドコンセプトは「自動車保険を、もっとやさしく」。これは、カーライフに優しいこと、自分に合った保険の探し方や使い方が易しいこと、保険料が家計にやさしいことなど、さまざまな意味を含む。2020年に開業20周年を迎えた同社はお客さまにやさしく寄り添う企業として新たな一歩を踏み出している。

電話と電子メールに次ぐコンタクトチャネル拡大が長年の課題

 同社のお客さまセンターは、保険に関する問い合わせや契約手続きに対応する自社コンタクトセンターだ。従来のチャネルは主に電話と電子メールで、それぞれ95%、5%という割合だった。同社 お客さまセンター部 品質・業務グループ マネージャー 佐藤英介氏は、直面していた課題を次のように語る。


「コンタクトチャネルを増やすことが課題でした。お客さまの中には電話を好まない、苦手な方もいらっしゃるはず。新しい選択肢を提供したいと考えていました。また呼量を減らしたい思いもありました。なかでも解決したかったのが、『イエス』『ノー』で完結する簡単な問い合わせです。これをデジタルチャネルで回答できればお客さまにもプラスではないかと、着目したのがチャットサービスでした」

 そこで手始めに、オペレーターで対応可能な有人チャットを導入した。2018年のことだ。

有人チャットとの連携性とカラクリを評価して
「KARAKURI chatbot」を選択 

 最初に有人チャットを配置したのは、検討中の見込み顧客が離脱しがちなページだ。操作に迷ったとき、アクセスしてもらえればオペレーターが手助けできるからだ。それで顧客が無事契約までたどりつけたら、お客さまセンターがプロフィットセンターとして機能することになる。

 1年間利用した結果、効果のあることが確認できた。どのページでつまずいたかオペレーターが把握できるため、的確なサポートが可能だった。利用数も順調に伸びていた。これにより、お客さまセンターは24時間対応可能なAIチャットボットの導入を決断。サービス選定に入った。複数の候補の中から、最終的に選んだのが「KARAKURI chatbot」だった。佐藤氏は選定の理由を次のように語る。

「有人チャットで蓄積したナレッジをその後も有効利用したいと思い、連携できるサービスを探しました。『KARAKURI chatbot』は、先行導入していた有人チャットサービスと連携でき、最もスムーズに導入できそうでした。

 また、カラクリという企業にも好感を持ちました。大企業の一部門が手がけるというのではなく、カスタマーサポート向けAIチャットボット専業の新興プレーヤー。このような新しいテクノロジーは、果敢にチャレンジできる企業風土が重要だと考えました」

Webサイト全ページでアイコン表示。有人チャットも「KARAKURI」に 

 サービスインは2019年8月。特にお問い合わせが発生しやすいページへの設置からスタートした。しだいに設置場所を拡大し、現在では公式Webサイトの全ページのみならず、契約顧客向けの「Myホームページ」にもアイコンを表示している。

2020年8月には、有人チャットもカラクリの「KARAKURI talk」にリプレースした。これは、UI/UXがすぐれており、ベンダーを一本化することで管理を簡素化できるのが理由だった。対応体制として、お客さまセンター内に6名の専任チームを組織。そのうち4名が日々、チャットボットのトレーニングに携わっている。同社 お客さまセンター部 お客さまセンター東京 スーパーバイザー 三浦真理子氏は、KARAKURIについて次のように語る。


「日中は電話の時間をほとんど取れないお客さまは意外と多く、電車での移動中などにもご利用いただけるチャット対応はすごく喜ばれています。『ありがとう』と返してくださるとお客さまのお役に立てていることを実感します。電話とは異なる人財育成が求められますが、お客さまに寄り添って対応するために重要なチャネルです」

ボット利用数は月間10,000件に。傾向把握でプロアクティブな顧客対応にも成功

 導入から1年10カ月、お客さまセンターにおける電子メール、AIチャットボット、有人チャットを合わせたデジタル対応比率は22%に上昇した。導入前の5%から大きな前進だ。全社的にDXを推進している中、狙いどおりの成果を出している。チャットボット利用数は、月間約10,000件規模で推移。『イエス』『ノー』で完結する簡単な問い合わせのデジタルチャネル移行も分析から見てとれ、これが呼量削減やオペレーター研修時間の確保につながっているという。


 チャットボットでリアルタイムに問い合わせ傾向が把握できるようになったことで、大成功した顧客対応策もある。2021年1月のある日、チャットボットに「大雪による被害は補償されますか」という内容の問い合わせが急増。これを受けて翌日ただちに対応方針をまとめて事故対応部門と共有し、オペレーターにも周知徹底した。

それだけでなく、該当地域に住む契約者に電子メールも配信した。顧客の安否を気遣うとともに、より事故対応がスムーズになるスマートフォンの「三井ダイレクト損保アプリ」を案内したのだ。これにより、土日のわずか2日間で、平時の10倍以上にもなる数千件規模のアプリがダウンロードされた。


「時宜に合った施策を打てたことが、万一の事故に備えるためのお客さまの行動につながりました。『KARAKURI chatbot』でお客さまの照会傾向をリアルタイムに把握可能だったからこそ実現できたことです。照会傾向を予測して構えるリアクティブな対応だけでなく、ニーズを先読みしたプロアクティブな対応ができた。我々のカスタマーサポートが一歩先に進むことができました」(佐藤氏)

チャットボット・有人同時並行利用など新しいアイデアも浮上中 

 三井ダイレクト損害保険株式会社 取締役 専務執行役員 井上哲郎氏は、経営の立場から次のように語る。


「開業20年で、お客さまとの接点は電話からインターネットへ広がり、チャットボットでやりとりできるところまで進化してきた。CXの観点からお客さまとの接点強化は当社の事業戦略の柱であり、DX推進により引き続き先陣を切って取り組んでいきたい。」


 2021年7月には顧客の困りごとを予測してサポートするチャット接客『KARAKURI rescue』の導入が決定している。さらに、有人チャット対応中オペレーターの回答を助けるチャットボット活用、保険内容の変更手続きがチャットボットで完結できるサポート対応といった新しいアイデアも次々と浮上している。「自動車保険を、もっとやさしく」という想いを込めて、三井ダイレクト損保はカラクリとともに顧客想いのカスタマーサポートを追求し続けていく。




【取材に対応していただいた方々】

三井ダイレクト損害保険株式会社 取締役 専務執行役員 井上哲郎氏
三井ダイレクト損害保険株式会社 お客さまセンター部 品質・業務グループ マネージャー 佐藤英介氏
三井ダイレクト損害保険株式会社 お客さまセンター部 お客さまセンター東京 スーパーバイザー 三浦真理子氏

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三井ダイレクト損害保険株式会社

本社:東京都文京区後楽2丁目5番1号
設立:1999年6月物産インシュアランスプラニング株式会社として設立
従業員数:552名(2020年3月31日現在)
事業内容:損害保険業

https://www.mitsui-direct.co.jp/

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