はじめてのチャットボット導入だからサポートの手厚さを重視。「正確な医療情報」の提供で有人対応を15%削減|株式会社ネクイノ 

ネクイノについて

まず、KARAKURI chatbotの導入を決定したサービスについて教えてください

KARAKURI chatbotを導入することにしたのは、ネクイノの、自宅からピルの相談、診察、処方までを提供するオンライン・ピル処方サービスのスマートフォンアプリ(以下、スマホアプリ)スマルナです。

ネクイノは、「世界中の医療空間と体験をRe▷Design サイテイギする」をミッションとするインターネットを用いた遠隔医療サービス企業です。優れたテクノロジーとUX(ユーザー体験)、そこにコミュニケーションという軸を加え、3D(3次元)のイノベーションでビジネスを進めているのが大きな特長です。

コミュニケーションのチカラを加えることによって、社会全体の視点を上げ、そこにある選択肢を選ぶことができる世の中の空気を醸成します。ネクイノは、この3Dイノベーションを社会実装させるために、医療と生活者の間のコミュニケーションの変革に徹底的にこだわっています。

夜間の質問対応と、これまで見えなかったインサイト発見を期待してチャットボットに着目

あらためてスマルナとはどのようなサービスなのかを教えてください

スマルナは、生理や避妊で悩む方と医師をオンライン上で直接つなぎ、ピルをお届けするほか、助産師や薬剤師が相談を受けつけるスマホアプリです。2018年6月よりサービスを開始しており、現在累計100万ダウンロードを突破、国内最大級の婦人科特化型オンライン診察プラットフォームです。18歳以上から30代の女性を中心に多くの女性にご利用いただいています。

これまで心理的・物理的なハードルがあって、病院には行きにくい、ピルの処方を受けづらい、といった方々へ正しい情報を届け、医療を身近に感じてもらえるよう、一人ひとりに寄り添うことを重視しており、女性が自己決定できる選択肢を提供し、自分自身で人生をコントロールしていくことが当たり前になる社会の実現をめざしています。

 スマルナにチャットボットを導入しようと思ったきっかけは何ですか?

スマルナには相談窓口にカスタマーサポートと医療相談室があります。アプリの中に「質問」というタブがあり、カスタマーサポート関連を対応する「アプリの使い方・ご契約などのお問い合わせ」と医療相談を対応する「お薬やからだの悩みのご相談はこちら」のカテゴリーで窓口を設けています。

そこから入っていただき、質問の内容によってはFAQも参照いただけるのですが、求める回答がなければ、直接ご相談内容をチャット画面に入力していただき、そのご質問やご相談内容に対してカスタマーサポートメンバーや助産婦薬剤師がチャットでお答えする流れになっています。カスタマーサポートと医療相談室へのお客様の満足度は90%以上と高く、丁寧・迅速だと高い評価をいただいています。

質問は24時間365日受け付けています。ただし、有人対応でのサポートであるため、回答はそういうわけにはいきません。たとえば夜間にいただいたご相談の回答は、どうしても翌日になってしまいます。女性の方ならおわかりかと思いますが、「生理が来ない」「いつもとは様子が違う」といった悩みを抱いてしまったときの心情は深刻で、非常に不安を感じます。お客様に寄り添うことをポリシーとしている私たちとしては、そのような不安な気持ちから一刻も早く解き放たれていただきたい、正確な情報にすばやくたどりついて、より早く安心していただきたい、との思いがありました。

そこで、スタッフのいない夜間にもユーザーさんの疑問や不安に沿った素早い回答が提供でき、有人対応のサポートになってくれるのではという点に着目し、チャットボットの導入を検討しました。

もう一つ、スマルナではCRMに力を入れています。その取り組みを進めている中で、チャットボット導入により、お客様をより詳細に把握したり、これまで見えなかったニーズに関するインサイトを得られた結果、よりよいサービスをご提供できるのではないかという期待もありました。

チャットボットを探す際はどういった点を基準にされましたか?

私たちが最も重視したのは、医療に対応できるチャットボットであることです。スマルナのサービスの特性上、お薬のことや、ユーザーさんのお体に関することですから、まちがった情報は提供できません。

どのチャットボットなら正しい情報を提供できるかという観点で調査しました。その一方でカバー率も重要で、正しい答えが出せるけれども、その範囲が狭いというのでは困ります。そうした中、機械学習できるAIなら、私たちの要望を満たしてくれるのではと考えました。

検討にあたって何か不安な点はありましたか?

正直にいえばありました。スマルナは遠隔医療を実現する、しかも婦人科に特化した特殊なスマホアプリです。似たようなアプリが世の中にあふれているわけではありません。その上、チャットボットもPC上でなら今はよく見かけますが、スマホでチャットボット、しかも私たちは有人チャットとのつなぎこみも望んでいたため、果たしてうまくお客様に使っていただけるチャットボットが実現できるのだろうか、という不安はありました。

医療情報の正確性を担保できる設計とサポートの手厚さでKARAKURI chatbotを採用

KARAKURI chatbot導入の決め手は何でしたか?

決め手は、医療情報において最も重要な正確性を担保できる点でした。AIの学習に必要な教師データを、1日15分程度時間を割けば、「これは言っていい」「これは言っていけない」と、管理画面上で誰もが簡単にトレーニングできるのがよかったです。

医療情報を伝えるという面で、リアルタイムに更新できるのは非常に安心感がありました。言葉を換えると、「AIが勝手な判断をしないように」人間の目で容易にチェックできるということですね。たとえば、これが開発部門の手を借りないといけない場合、話は変わってきます。特別な知識がなくても、またそこまでリソースを割かずとも、人の目も入れて回答をチェックしていけるからスマルナチームで運用していけると思いました。こういったトレーニング画面のわかりやすさ、運用のしやすさに「正確性を担保できること」を確信しました。

 サポートの手厚さも印象的でした。当社は有人チャットなどにZendeskを活用しています。チャットボットもZendeskを使うという選択肢もありましたが、何しろチャットボットの導入は初めてです。アプリに導入できるのか、有人チャットにつなぎこめるのかなど手探りの状態でした。

そうした中、非常にわかりやすく説明してくれたのがカラクリの担当者でした。スマルナチーム内でも納得できたため、これなら安心して当社の開発部門との間に立ってプロジェクトを進めていけそうだと思えました。また、既存のFAQ分析で、チャットボットでの対応可能性を定量的に示してくれた点にも、CS分野の専門家であることを感じました。アプリへの導入や有人チャットへの接続に関しても、こちらのオペレーションを加味した上での提案など熱量をもって対応してくれました。その高い熱意を見て、彼らならやり遂げてくれそうだと思えたというのもありました。

 採用が決定した後のオンボーディングでも、信頼を構築してくれました。医療サービスなので、FAQの内容にはどうしても婦人科や薬に関する専門用語が入ってきます。最初、FAQからカラクリがチャットボットの初期構築を作成してくれると聞いたときは、よく知らない分野なのに正直大丈夫なのかと心配する気持ちもありました。しかし、出てきた成果物は抜け漏れなく網羅されていました。シンプルにすごいなと思いましたし、これなら安心して導入の構築をゆだねられると思いました

業務効率化は二の次、お客様の安心感につながることが最も重要

2024年4月から活用を開始されていますが、当初の構想について教えてください

まずは、どれぐらいチャットボットを利用していただけるか、それがお客様にとって自己解決につながっているか、アプリの体験価値向上につながっているかは見ていきたいと思っていました。サービス上、共感や寄り添いを大切にしているため、それがチャットボットの対応でも実現できているのかどうかは重要な尺度です。有人対応ができない時間帯に問い合わせいただいても、チャットボットが存在することで「解決」や「不安解消」につながる、「いつでもどこでも安心してスマルナを使える」といった世界観が作れたらいいですね。

 有人チャットではカテゴリーを設けていますが、チャットボットでは、たとえば「あなたの質問は何ですか」とこちらから積極的に働きかける仕組みを作りたいと考えています。お客様の質問を明文化し、より的確に正確な情報に導くといった導線を設計していきたいですね。テキストも、なるべく柔らかい表現を使う、いたわりの言葉を添えるなど、お客様の不安を和らげる工夫を施したいと思います。

その後、約4ヶ月ほど利用されて、効果はいかがでしょうか

いくつか嬉しい変化がありました。まず、医療相談室での有人対応のチケット数が約15%減りました。考えられる要因は様々ありますが、その中の1つにチャットボットが事前に対応してくれたからなのではと考えています。

それから、FAQページの閲覧数も前月比で約12%減少しました。これは、今まではお客様が知りたいことをFAQページで探すのみだったのに対し、チャットボット導入後はまずはチャットボットに質問し、ボット側から提示されるFAQで一定数が解決されているためだと考えています。

特に驚いたのは、チャットボットの対応数の約6割が夜間の問い合わせだったことです。夜間は相談員が対応できないので、その時間に来た相談にチャットボットが応えてくれるのは本当に助かっています。

チャットボットというと業務効率化というイメージがありますが、私たちとしては、業務効率化のためだけに導入するのではないという思いがあります。スタッフのいない業務時間外でも、チャットボットによりできるだけユーザーさんの求める回答が提供でき、安心感につなげられることが最も重要です。

すべてはお客様のためであり、今後の開発もこの点を理解した上で、カラクリとは一緒にサービスを作り上げていきたいと考えています。

定量的な効果以外に、新たな発見はありましたか?

チャットボットの活用で、今まで見えなかったインサイトが浮き彫りになるのではと考えていました。現時点では新たなインサイトの発見には至っていませんが、チャットボット経由で有人チャットに流入した問い合わせから、いくつかの仮説を立てています。

例えば、チャットボット経由で有人チャットに流入した問い合わせのうち、副作用に関する内容が一定数ありました。これは軽い副作用に関してはチャットボットで対応し、解決しない重いものに関しては有人チャットへ誘導するように設計されているため、その通りに流入しているのではないかと考えています。また、副作用についての相談は不安を伴うことが多く、そのため有人チャットに流れやすいのではないかという仮説です。

今後もお客様の年齢などの基本情報や、有人チャットコミュニケーション履歴、チャットボットコミュニケーションの履歴から、新しいマーケティング施策につながる何かを見つけ、幅広く活用していきたいです。

将来的にはCRM連携を実現、解像度高い顧客理解で“寄り添い”を強化

今後の展望を教えてください

将来的には、冒頭でも触れたようにCRMに力を入れているため、チャットボットのデータをCRMと連携して活用していきたいです。これによりお客様の人間像をより精度高く把握することができるのではと期待しています。それにより、個々のお客様に対するより丁寧な対応であったり、寄り添った対応であったり、その上でサービスのイメージアップを図るといった、顧客の満足度向上にもつなげていきたいと考えています。




株式会社ネクイノ

本社:大阪市北区曽根崎新地1-13-22 御堂筋フロンティア WeWork

設立:平成28年6月3日

従業員数:83名

事業内容:インターネットを用いた遠隔医療サービスの企画及び運営

     システム開発及び運営

     医療機関へのコンサルティング事業

     前各号に附帯関連する一切の業務

企業公式URL:https://nextinnovation-inc.co.jp/

サービスURL:https://smaluna.com/

【取材に対応していただいた方々】

株式会社ネクイノ スマルナチーム 開発チーム プロダクトユニット 永禮 友紀奈氏

株式会社ネクイノ スマルナチーム MLユニット ユニット長 加藤 涼子氏

株式会社ネクイノ スマルナチーム CLユニット ユニット長 佐々野 実希氏

業種ごとに複数の事例をまとめた導入事例集で
具体的な効果の詳細をご覧ください

事例でご紹介した企業

株式会社ネクイノ

本社:大阪市北区曽根崎新地1-13-22 御堂筋フロンティア WeWork
設立:平成28年6月3日
代表者:代表取締役 石井 健一
事業内容:インターネットを用いた遠隔医療サービスの企画及び運営など

https://nextinnovation-inc.co.jp/

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