RPAとの二人三脚により人的対応の大幅削減を実現 | 株式会社ニッセン

2022.3.21 ECKARAKURI chatbot
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めざすは脱・労働集約 カスタマーサポート体制の刷新を決断

 インターネットが出現する前、通販といえばカタログ通販が主流だった。なかでも「ニッセン」は“老舗”ブランドで、最高1,000万冊を発行、女性の多くが季節ごとに新しいカタログが出るのを楽しみにしたものだ。ネット通販時代が到来し、同社の売り上げも今や8割が「ニッセンオンライン」による。婦人服を中心とした衣料品を主力商品で、大きなサイズ、小さなサイズ、トールサイズなど、幅広い顧客ニーズに応えている点が特徴的だ。

 その運営者である株式会社ニッセンでは、カスタマーサポートに関して、これまで電話、メールチャネルを中心に自社コンタクトセンターで行ってきた。ここには注文も入れば問い合わせも寄せられた。業容拡大につれてコンタクトセンター体制も拡げたが、それは一定のコストを要することを意味した。

 一方で、昨今はコンタクトセンター人材不足にも悩まされた。人が足りないために現場は混乱し、管理職も自ら手を動かさなければ業務が回らない状況だったのである。

 2018年、経営層はカスタマーサポートの課題を解決すべく指針を示す。その一つが労働集約型の業務体制を早急に改善するというものだった。業務体制の見直しを急ぐのは別の要因もあった。同社はこの時期に基幹システムを刷新、自社開発システムからパッケージシステムへ切り替えた。これにより、今までシステム化されていた返品対応を手動で行うことになった。

コンタクトセンター内のメールチームは業務量増大を覚悟しスタッフを拡充しようとしたが、人材不足はさらに深刻化しており、必要人員を確保できなかった。株式会社ニッセン リスク統括部 お客様相談室 室長 能勢智晴氏(下記写真:左)は次のように語る。

「経営層からは『いつまでも“人ありき”で考えるのではなく、今はコストパフォーマンスの高いITがあるのだから活用したらどうか』という助言がありました。確かに人が足りないのですから、後は自動化、セルフサービス化をめざすしかありません。検討の末、問い合わせに関して、完全に自動化可能なものはRPAで、気軽にお答えできるものはAIチャットボットで、両者では対応が難しいものは人が当たるという体制を構築することにしました」

社内運用可能なユーザビリティ、AIビジョンを評価して「KARAKURI」を選択

結論からいえば、AIチャットボットとして選ばれたのは「KARAKURI」だった。株式会社ニッセンホールディングス 執行役員 管理本部 本部長 井上勝之氏は、その選定理由を次のように語る。

「AI製品やサービスはさまざまありますが、私たちが重要視したのは社内で運用が完結でき、きちんとPDCAを回していけるという点でした。また、検討した当時は別のベンダーも候補にあがっていましたが、AIと名乗っているものの、その製品を成長させようという意気込みがあまり伝わってこず、“後はお客様側で自由にお使いください”と手放されたように感じてしまうサービスも少なくなかったんです。

そうした中で『KARAKURI』は、ロジカルな仕組みがしっかりしている一方で、ユーザビリティもよく、非常にわかりやすいサービスでした。経営層のビジョン、探求心にも共感でき、共に歩んでいくパートナーとして最適だと考えて採用を決めました」

 「KARAKURI」は「ニッセンオンライン」における問い合わせフロントとして位置づけられ、まず既存のQ&Aをベースに質問・回答セットが用意された。

 同社内でのフローはこうだ。お客様が質問を入力すると、まずはAIチャットボットが回答に当たる。答えられない質問に関しては、営業時間内なら有人チャットスタッフが引き継ぎ、営業時間外ならWebフォームを提示、メール問い合わせをしてもらう。準備段階の取り組みについて、株式会社ニッセン リスク統括部 お客様相談室 企画推進担当 加藤奈智子氏はこう振り返る。

「当社のカスタマーサポートの理想イメージは、“やさしく、親切・丁寧で、頼りになるお姉さん”です。AIチャットボットにも好印象を持っていただけるよう『みことちゃん』というキャラクターを用意しました。“美しい古都”という意味で、当社が京都を拠点とすることに由来しています。当初、7名のチャットボット専門スタッフがアサインされ、『みことちゃん』とともに日本一頼りになるチャットボット対応をめざしました」

問い合わせ対応の15%を削減 チャットで初めて顕在化した顧客ニーズ

 2019年5月現在、「ニッセンオンライン」の問い合わせのうち55%をRPA、15%をAIチャットボットが担う。

 チャットボットスタッフが対応の合間にすべての質問に目を通し、地道にトレーニングを施してきたことで「KARAKURI」の正答率も上昇している。質問・回答セットも倍増。人による問い合わせ対応が激減したため、一部スタッフは他業務へ異動、チャットボットスタッフは、現在2名で「KARAKURI」のボットトレーニングを行っている。

 AIチャットボットによって初めて顕在化した顧客ニーズもある。たとえば、サイズや送料負担に関するものがその代表例で、人には言いにくいこともチャットには気軽に聞けるということがわかってきた。加藤氏はこう語る。

「ちょっと知りたい、ちょっと困っている、そういったお客様の“素”の声が、それも数に裏打ちされたニーズに気づけるのがAIチャットボットの利点だと思います」

 同社ではこれらのデータから日常的に共起データ分析を行い、サイト改善の一助としている。

 また「KARAKURI」はコンタクトセンタースタッフの内部FAQツールとしても使われており、他部署からも導入を望む声があるという。株式会社ニッセン カスタマーサービス部 NETコミュニケーションチーム マネージャー 池田智紀氏は、現時点での評価と今後の展望を次のように語った。

「さらなる正答率向上をめざして質問の意図をくんで、一発で回答を示せるような仕組みも実現させたいですね」

 労働集約的な業務体制からの脱却で、みごと形勢立て直しに成功したニッセン。その陰には、カスタマーサポートを熟知する「KARAKURI」の貢献も確かに存在した。

株式会社ニッセンホールディングス 執行役員 管理本部 本部長 井上 勝之氏
株式会社ニッセン リスク統括部 お客様相談室 室長 能勢 智晴氏
株式会社ニッセン カスタマーサービス部 NETコミュニケーションチーム マネージャー 池田 智紀氏
株式会社ニッセン リスク統括部 お客様相談室 企画推進担当 加藤 奈智子氏 

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株式会社ニッセン

本社:京都市南区西九条院町26番地
設立:2007年6月21日
資本金:1億円(2019年2月28日現在)
事業内容:婦人服を中心とした衣料品、インテリア雑貨などの
     インターネット・カタログ通信販売
     婦人服の店舗販売
     通販ノウハウを活かしたビジネスサポート、BtoB事業

https://www.nissen.co.jp/

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