KARAKURI chatbot導入で電話受付に終止符。“エフォートレス”な仕組みづくりで、回答率90%、満足率60%を達成|SBI VCトレード株式会社

SBI VCトレードについて

KARAKURIを導入したサービスについて教えてください

今回、KARAKURI chatbotを導入したのは、当社WEBサイトのお問い合わせページ(SBI VCトレード サポートコンシェルジュ)です。また、メール・有人チャット対応品質の標準化を目指し、オペレーターを支援するツールとして2024年1月にはKARAKURI assistも導入しました。

SBIグループは、これまでオンライン証券・銀行・保険などの金融サービス事業を中心に、ベンチャー企業への投資を主とするアセットマネジメント事業、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業を3大事業として、飛躍的な成長を遂げてきました。2022年4月以降は暗号資産事業と資産運用事業を含めた5事業セグメント体制へと変更し、SBI VCトレードでは「暗号資産もSBI」のキャッチコピーと共に、暗号資産事業における中核企業として、個人のお客さま・法人のお客さま向けの商品開発・サービス提供に注力しています。

問い合わせ殺到でセンターがパンク状態に。呼量削減のためチャットボット導入を検討

チャットボットを検討したきっかけを教えてください

当社は2021年12月にTaoTao株式会社と合併し、2022年6月末にはサービスの統合を行いました。新しいSBI VCトレードのサービスとして稼働したのですが、この新しいサービスを利用するためには、旧SBI VCトレードのサービスを利用していたお客様には口座移管による「口座の初期設定」が必要となりました。

2022年7月から9月にかけては、この初期設定に関する電話、メールでのお問い合わせが殺到し、カスタマーサポートはパンク状態となりました。電話がつながらないこと、メールの返信が遅いことに関してお客さまからの苦情も寄せられましたが、当時はオペレーターを増やす際には研修に2カ月が必要で、結果として増員に踏み切れない状況でした。 こうした状況を打破するために、お客様自身で自己解決してもらう仕組みを導入することにより、電話やメールによる問い合わせ削減を図れないかと考え、まずチャットボットの導入を検討しました。

(SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 部長 綿引 光夫 氏)

問い合わせ削減施策としては、チャットボットの導入に加え、FAQの再整備を含むお問い合わせページの刷新も行うこととしました。
まずホームページ上のグローバルナビの名称を「FAQ」から「お問い合わせ」に変更し、わからないことがあるお客さまがホームページのどこに行けば良いのかを明確にしました。またこの名称変更に合わせて「お問い合わせページ」のデザインも刷新しました。従来は所謂FAQのページで、検索用のBoxとよくある問い合わせがあるだけだったのですが、刷新後は「SBI VCトレードサポートコンシェルジュ」として、上部にチャットボットエリア、下部にFAQエリアを設け、検索も可能としたほか、FAQのCMS化によりタイムリーな変更を可能としました。

このページの刷新の効果は大きく、刷新前はFAQのトップページの検索が1日平均20件程度だったのが、刷新後は180件にまで拡大し、2024年1月には600件超にまで利用が拡大しています。

また電話受付対応の削減施策として、「受電サービスから予約架電サービスへの切り替え」を模索しました。チャットボットの整備と有人チャットを導入することで受電サービスの終了ができないかを検討し、コロナ禍をきっかけに受電サービスを終了したグループ会社の事例も参考にした上で、受電サービスの中止を決断しました。実はお客さまから多大なクレームが来た場合には最悪復活もやむなしと密かに思ってはいました。


KARAKURI chatbotをどのように知りましたか?

グループ会社で早くからKARAKURI chatbotを導入していたSBI証券から紹介してもらいました。同社で著しい導入成果が出ており、当社が活用していく上でのノウハウも共有してもらえると考え、当社も導入することにしました。 2022年11月下旬にはお客さまからの問い合わせが増加する新たな案件が始まるため、チャットボットのリリースは11月中旬を目標に設定しました。10月に導入作業を開始して、7週間で目標どおりの本番リリースを行うことができました。

顧客にとって“エフォートレス”な環境をめざし、あの手この手の創意工夫

KARAKURI chatbotをどのように活用されていますか?

チャットボットはリリース直後からお客さまの利用が進み、対応件数で翌月には7,000件、受電サービスを終了した2023年1月(翌々月)には1万件を超える利用となりました。これ以降、月間の対応件数で1万件を下回ることはなく、多少増減はあったものの順調に利用が進み、直近では2万件を超える利用状況となっています。また受電サービス終了直後はメールでの問い合わせが一時的に増加しましたが、2か月後にはメールの問い合わせ件数も落ち着きました。

チャットボットのスタート時は、回答率は70%台とまずますの滑り出しでしたが、満足度は20%と低く、まだまだお客様の自己解決にはつながっていない状況でした。そこでトレーニングに着目・注力しました。毎朝チャットログをダウンロードし、「お客さまの質問に的確に回答できているか」、「お客さまのお困りごとに対して解決につながっているか」といった観点で確認し、チャットボットのトレーニングに注力することで、回答数に対して学習回数が少ないと満足率が低下することが分かりました。満足率とトレーニング数は比例関係にあると考え、トレーニング数を意識するように心がけました。

図1 トレーニング数と満足率の関係

高い回答率を達成するのに重要なのが、想定されるお客さまからの質問パターンの登録です。SBI証券の担当者から「質問パターンは多ければ多いほどいい」、「一つの回答に対して質問パターンを200~300件登録している」と聞き、当社もできるだけ多くの質問パターンを登録すると回答率は順調に上がり、2か月目から80%台を達成・維持することができました。目標としていた90%にも8か月目で到達しましたが、この90%台を維持することに大変な労力を必要としました。この対応に大きく貢献してくれているのが、新しくリリースされた「質問パターンのAI自動生成」を活用した質問パターンの生成です。

「質問パターンのAI自動生成」は、OpenAIが提供しているChatGPTとの連携が可能となり、質問パターン案を自動で生成してくれます。この「質問パターンのAI自動生成」を活用することにより、入力された言葉に対して適切な会話カードが表示可能になり、回答率90%台の維持も容易となりました。もはや「質問パターンのAI自動生成」による質問パターン生成機能なしではいられないというほど常用しています。

会話カードの言葉にもこだわっており、どんな質問にも応えられるようカバー範囲を拡大しました。そして、掲載する内容は、“読めば分かる”を超えて“読めば理解できる”を目指し、「わかりやすさ」、「よみやすさ」、「解決策の提示」を徹底しました。KARAKURI chatbotは、太字、赤字、画像などを使って表現の工夫もしやすく、助かっています。

(写真左 SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 部長 綿引 光夫 氏 
 写真右 SBI VCトレード株式会社 顧客管理部長 金森 秀樹 氏)

また、フォームの活用も大きいです。お問い合わせやご依頼の中には、お客様に確認・了承をいただかなければならないことがあります。典型的なものにログイン時の2要素認証に関するものがあり、例えば「ログインできない」とメールのフリーフォームで届くと、「設定したのは認証アプリかSMS認証ですか」、「認証アプリならもうインストールはお済みですか」など、お伺いすることが多数あり、幾度となくやり取りが発生することがありました。

そうすると、お客様も途中で離脱してしまう可能性が上がります。そこで、チャットボットからフォームを使ってご依頼いただけるようにしました。 実は、2023年6月にCS業務の内製化に踏み切っていて、管理職を含め16名でお客様対応を担っています。チャットボットのフォームからお問い合わせが届くことによって、他のお問い合わせと混じることなく、専任オペレーターが優先的に対応できるようになりました。これが好評で、フォームを利用されたお客様からは80%を超える高い満足率をいただいています。

チャットボット利用率80%でチャネルトップ。回答率は90%、満足率は60%を達成

導入効果をどのようにご実感いただいていますか?

チャットボット、有人チャットの導入とそこへのお客さまの誘導の工夫によって、大きな問題なく電話受付を終了できたことは大きな収穫です。

リリース後1年でチャットボットの利用率は増加し、2023年12月には 80%(FAQを除く)になっています。実際、回答率は90%を超える水準を保っており、満足率でも60%を超える水準を達成できております。チャットボットにもよくあるお問い合わせを取り込んでいるため、メールでのお問い合わせ内容はお客さまの個々の状況に起因した内容に変わってきております。

図2 問い合わせチャネルごとのシェア推移

また、チャットボットはオペレーター支援という点でも有用です。ナレッジを検索したり、お客さまへ回答するのに適切な言葉を探したりといったことに利用しています。そこで不足している会話カードに気づいて、補充するといったこともあります。

顧客がもっと手間をかけずにすむような未来に期待

これからチャットボット導入を検討しようという企業に、何かアドバイスをいただけないでしょうか。

当社はシナリオ型のチャットボットからスタートしましたが、これだけではお客さまがシナリオ途中で離脱してしまうことが多かったので、One to One(1問1答)の会話カードへの変更を進めております。キーワードを入力された場合にも何らかの回答ができるようにしていきたいと考えております。

(写真左 SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 部長 綿引 光夫氏 
 写真右 SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 アシスタントマネージャー  池田 康宏 氏)

できるかぎりお客さまが手間をかけなくてすむような会話カードの構成も重要だと考えております。

Webサイトへ誘導するリンクをつけてお客様に回答を探させるような仕組みは極力避け、会話カードに解決策をしっかり盛りこむことを意識しています。

そうはいいながらも、失敗はつきものです。とにかくいろいろ試しながら、お客さまが何を望まれているかをよく考えて作りこんでいくことが何より重要だと考えています。






SBI VCトレード株式会社

本社:東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー
設立:2017年5月26日
事業内容:暗号資産交換業、第一種金融商品取引業、暗号資産の消費貸借取引に係る業務、それに附帯・関連する業務
企業公式URL:https://www.sbivc.co.jp/

【取材に対応していただいた方々】

SBI VCトレード株式会社 顧客管理部長 金森 秀樹 氏
SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 部長 綿引 光夫 氏
SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 マネージャー 小林 加奈 氏
SBI VCトレード株式会社 顧客管理部 アシスタントマネージャー  池田 康宏 氏

業種ごとに複数の事例をまとめた導入事例集で
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事例でご紹介した企業

SBI VCトレード株式会社

本社:東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー
設立:2017年5月26日
事業内容:暗号資産交換業、第一種金融商品取引業、暗号資産の消費貸借取引に係る業務、それに附帯・関連する業務
企業公式URL:https://www.sbivc.co.jp/

https://www.sbivc.co.jp/

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