「AIを導入して呼量が○○%削減された秘訣」というテーマの講演ばかりに注目していませんか?確かに、コスト削減は重要な課題であり続けることでしょうが、この一点に過剰に焦点を当てると、深刻な問題に陥るかもしれません。そこで、海外事情に精通している株式会社ラーニングイット 代表取締役 畑中 伸介さんをゲストスピーカーに迎え、「コンタクトセンターの経営貢献」というテーマについて、再度真正面から取り組んでみたいと思います。キーワードは「カスタマーディライト」です。
(この記事は2023年3月20日に開催されたセミナーの内容に補足・編集を加えたものです)
なぜ『呼量削減』の事例ばかりに固執すると危険なのか?
『呼量削減』の事例ばかりに固執すると危険な理由は、呼量削減≒顧客接点の削減につながるケースがあるからです。実際に、弊社の顧客企業からは、「呼量が減った結果、今まで売上につながっていた簡単な相談まで減ってしまった」という声が聞かれるようになりました。これは、コンタクトセンターの目標をロイヤルティ貢献や利益貢献に設定した場合、『呼量削減』にこだわりすぎると、企業にマイナスの影響を与えてしまう可能性があることを示唆しています。
企業のロイヤルティを目標にしたカスタマーサポートの流れについて考えてみましょう。①お客様がボトルネックになる体験をし、②問題を相談し、③人またはツールが応対し、④満足または不満がロイヤルティにつながります。不満や心配事に遭遇したとき、顧客が企業にコンタクトしたかどうかが、ロイヤルティを左右する重要な分かれ道となります。
顧客接点を減らすことは、顧客ロイヤルティの低下につながる可能性があります。なぜなら、顧客が企業に問い合わせや相談をする機会が少なくなると、企業に対する信頼や満足度が低下するためです。さらに、顧客ロイヤルティの低下は、顧客の離反、口コミの悪化、ブランド価値の低下などを招き、売上・利益が低下するおそれがあります。
以上のように、顧客ロイヤルティの低下は企業にとって深刻なリスクとなることがあります。したがって、企業は顧客接点を減らすことだけを考えるのではなく、自己解決型のFAQやチャットボットなどの自動化ツールを活用しながら、いかに顧客接点を増やすのか?といった発想が、ロイヤルティ向上には必要不可欠となります。
また、コンタクトセンターにおいては、応対品質のアンケートを取ることが一般的ですが、このアンケートだけに頼って顧客ロイヤルティの低下を判断することは困難です。実際には、アンケートに回答しないままサービスを利用しなくなる顧客や、不満を抱えつつもサービスを利用し続ける顧客が存在します。つまり、顧客ロイヤリティの低下は、問い合わせをしてくれた顧客だけを見ていても発見しにくいということが言えます。
上記を元に分析・改善することでロイヤルティの維持・向上が可能
顧客全体のロイヤルティ向上のためには、問い合わせをしなかった顧客の分析も必要
Q.ロイヤルティの数値事例を教えてください
企業に問い合わせをしてコールセンターで満足度が高かった人の顧客ロイヤルティが約80%であるのに対し、不満足だった人は約50ポイントも低くなることがわかっています。コールセンターは、顧客からの感謝や苦情などの感情が混在している場所であるといえます。
また、企業に問い合わせをしなかった人の顧客ロイヤルティは、満足と不満足の中間の約50%程度と言われています。以前は、80〜90%の人々が企業に問い合わせをしなかったものの、近年では電話やメール以外の問い合わせチャネルが増えたこともあり、昨年の調査では問い合わせした人としていない人の割合が50:50になっています。
このように、企業に問い合わせをしない人々が非常に多く、その方々の顧客ロイヤルティは向上していないという事実があります。なお、50:50は日本のデータであり、アメリカでは70%の人々が企業に問い合わせをしているというデータもあります。色々な要因が考えられますが、日本とアメリカのコンタクト率の差は、問い合わせた先のコンテンツの差が一番の要因かもしれません。わかりやすく、理解しやすいコンテンツが重要で、書いてある内容がわかりやすいとコンタクトする顧客が増えます。コンテンツを磨くことで、日本もアメリカのような状況に持っていくことができます。
Q.顧客の質問の背景に潜むものとは?
呼量削減のために、お客様が自分で調べて解決できるチャットボットやFAQの導入が進んでいます。しかし、これらのツールは、顧客が期待している回答とは異なる内容を提示することがあります。例えば、「この商品はいくらですか?」という質問には、単純に値段を知りたいケースもあれば、値引き交渉をしたいケースもあります。単に質問に答えるだけでは、対話の機会を失ってしまう可能性があるため、顧客が知りたいことがつながっていくような対話が行われることが、ロイヤリティ向上の原則になってきます。実際に、ある金融機関では、半数以上の問い合わせが相談に発展する可能性があることが明らかになっています。
海外で注目されている「カスタマーディライト」とは?
カスタマーディライト(Customer Delight)とは、顧客の期待を超えて、ポジティブな感情反応を生み出すことによって、顧客ロイヤルティを高める概念です。このポジティブな感情反応は、口コミやリテンションにつながります。つまり、カスタマーデライトは、競合他社との差別化につながり、企業の売上と利益に直接影響を与える非常に重要な要素であると言えます。
過去には、顧客満足度が主要なパフォーマンス指標として見なされてきました。しかし、単なる顧客満足度では、ブランドのロイヤルティを生み出すことができず、また、ポジティブな口コミや行動を促すこともできません。つまり、顧客の期待値を超えて、顧客を本当に喜ばせることが重要であるということです。
海外の取り組み事例 -SPC Financial社-
今から紹介するアメリカの企業、SPC Financial(以下、SPC社)は、ラーニングイット社が調査・情報収集している中でも、CXで成功している会社です。SPC社は投資アドバイザーの会社で、Financial Adviser(FA)を抱えています。
SPC社のタッチポイント戦略は2つあります。
- 疑問や不安を抱いた際に申し出る顧客を増やす
- FAの応対品質を徹底的に上げる
SPC社のタッチポイント戦略は、お客様が疑問や不安を抱いた場合、必ず聞き出すことを大切にしています。最終的には、FAとの相談につながりますが、その手前にはFAQなどのタッチポイントも含まれます。SPC社のFAは、お客様の質問に非常に熱意をもって答えるのが特長で、その熱意がウェブサイトからも伝わってきます。
2年前の調査によると、疑問や不安を感じながらも問い合わせをしなかった人が7%まで減り、93%の人が問い合わせをしています。これは、SPC社のタッチポイント戦略が功を奏した結果です。括弧内の5年前の数字と比較すると、5年前は疑問や不安を感じて問い合わせをしている人は78%でしたが、現在は93%に増えています。また、応対満足度も74%から89%に上がり、Top Boxの数も増えました。これは驚異的な数字であり、SPC社が非常に成功していることを示しています。
SPC社の成功要因は、5年前と比較して問い合わせチャネルを増やしたこと、また、FAとのアポイントメントを増やしていることです。飲食店のネット予約のようなシステムを使って、自分が希望するFAと、いつ、どの時間帯、どの方法で相談するかを申込者が自由に決められるようにしています。また、5年前から金融セミナーの形態を変え、90分のセミナーの3分の2は質疑応答に割り当てられています。これをタウンホールミーティングと呼び、金融について学ぶ場として、また質問に答える場として位置付けています。
カスタマーディライトが注目される理由
ビジネス環境の変化とサービス・ドミナント・ロジック
カスタマーディライトが注目される理由は、ビジネス環境の変化が進んだためです。どのような変化が起きているのか、「サービス・ドミナント・ロジック」というキーワードをもとに説明していきます。
サービス・ドミナント・ロジック(Service Dominant Logic、以下SDL)とは、サービスが経済活動において中心的な役割を果たすという観点から、経済学の理論枠組みを再構築しようとする考え方です。
従来の製品中心主義の視点では、製品が顧客に提供される価値を決定する主要な要素であったのに対して、SDLではサービスが顧客と企業との相互作用の中で共同で生み出される価値を決定する主要な要素であるという考え方があります。
具体的には、SDLでは、企業は製品やサービスを提供することで、顧客と共同で価値を創造することが求められます。顧客は、自らのニーズや問題を解決するために、企業が提供する製品やサービスを利用することで、自らが価値を創造することになります。企業と顧客は、お互いに協力しながら、共同で価値を創造することが重要であるとされます。
このSDLとカスタマーディライトは、密接に関連しています。SDLに基づく企業は、製品やサービスだけでなく、顧客体験全体を考慮することが重要であり、カスタマーディライトを達成するための有力な手段の1つであると考えられます。SDLでは、顧客と企業が共同で価値を創造することが重要であるという考え方がありますが、この価値は、単に製品やサービスの品質だけではなく、顧客が体験する全体的な感情にも影響します。そのため、『売ることがゴールではなく、スタートである』という発想でビジネスを構築する必要があります。前述したSPCの例は、まさに企業が顧客の消費プロセスに入り込んでいる事例と言えます。
それでは、企業と顧客の価値共創はどのように進めていくのでしょうか?そのためには、ますまず価値共創領域を拡大する必要があります。意思が強くて能力の高い顧客は、企業の支援が無くてもサービスを活用し、価値を創出することができます。しかし、意思が弱くて能力の低い顧客や、意思が強くても能力が低い顧客など、サービスの価値を引き出すことが苦手な層には、企業側の支援が必要です。
ここで注意すべきなのは、コスト削減(すなわち、顧客とのコンタクト削減)に意識が向きすぎると、意思が強くて能力が高い層の顧客しかケアできなくなってしまう可能性があるということです。 ですので、価値共創領域を広げるには、意志や能力が弱い顧客に対しても、積極的にコンタクトを取ることが必要となります。
カスタマージャーニーに置き換えて考えてみましょう。顧客が商品やサービスを購入した後、価値を引き出すためには様々なボトルネックが発生します。このボトルネックの解消について、企業のどの部署が最適に対応することができるでしょうか?様々な部署が候補として挙げられますが、コンタクトセンターが最も適しているのではないかと考えられます。
カスタマーディライトが日本で浸透しない理由と、海外とのギャップ
実際に、日本でもカスタマーディライトを徹底して実践している企業は存在します。しかし、競合状況など周りを見ながら、ある程度のサービスだけを構築してしまうと、Top Boxには届かないことが多いのです。逆に、自社の顧客を徹底的に満足させることが競争力だと確信している企業は、着実に成長していきます。
競争が激しい業界、例えばホテルやレストランなどで、このカスタマーディライトの効果は顕著に表れています。しかし、日本全体で見ると、まだカスタマーディライトは十分に浸透していないと言えるでしょう。日本では、産業保護の方針が強く、大手企業は主に省庁が定めた法令の遵守に努めます。一方、欧米は競争が激しく、海外から優秀な企業が参入してくるため、顧客を奪われるリスクが日本よりも高くなっています。そのため、最高の評価(Top Box)を目指してサービスで勝負することが重要となります。また、プロダクトアウトからマーケットインへのシフトが求められる中、欧米ではSDLがかなり浸透してきていると言えるでしょう。
コンタクトセンターのKPIにも海外とのギャップが
コンタクトセンターのKPIは、日本と海外で異なります。デロイトトーマツコンサルティングの調査によると、コンタクトセンターで重要視される戦略は、日本と海外ともに「顧客体験(CX)向上」という共通点があります。しかし、CX向上のために重視されるKPIは、日本企業では応答率を重視している一方、海外企業では顧客ロイヤルティ指標という、まったく違った指標が重視されていることがわかります。この調査結果は2021年のデータに基づいていますが、現在の日本は、顧客ロイヤルティを高めるためのCX戦略への過渡期にあるのかもしれません。
『顧客の不満を解消すること』の限界とは?
不満解消とカスタマーディライトの違い
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論※1に沿って、不満解消とカスタマーディライトの違いを説明します。まず、サービスに対する不満足は「衛生要因」に影響されます。「ログインができない」や「サイトが使いにくい」などの問題がその典型です。一方、サービスに対する満足は「動機づけ要因」に影響されます。これには、「感動的な接客」や「商品の良さ」などが含まれます。
※1…職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論。「満足」に関わる要因と「不満足」に関わる要因は別のものであるとされている。
重要なのは、この二つの要因をバランスよくマネジメントすると、顧客とのエンゲージメントを総合的に向上させることができるということです。ただし、衛生要因をいくら改善しても、それだけで顧客の「満足」には直接結びつきません。顧客の「満足」を得るためには、「動機づけ要因」を生み出す必要があります。
例えば、訪日外国人を京都へ誘致する場合、「Wi-Fiが繋がりにくい」という不満足を解消したとしても、京都を訪れる外国人が増えるかどうかは別問題です。これはコンタクトセンターにおいても同様で、不満足を解消する業務と顧客満足を引き出す業務のバランスを見直す必要があるのではないでしょうか。
エフォートレスが常に最良ではない?
便益の中の、不便益という考え方があります。不便益とは、便利さの中にある「不便さ」がもたらす価値や利益のことです。簡単に言うと、「不便でよかった」と感じられることがあります。例えば、「富士山の山頂までエレベーターがあったらどうだろう」という提案があっても、多くの人は自分の足で登ることに意味や価値があると考えるでしょう。
このような考え方は、「過度な便利さが人々の生活や成長の機会を奪ってしまわないように」という意識を持ち、バランスの良い生活を目指すものです。便利さがもたらす利点も多くありますが、不便益のような概念を考慮して、適度な不便さも大切にすることで、人々はより充実した経験や成長の機会を得ることができます。
顧客の不満が少ない事業における、コンタクトセンターの役割とは?(海外事例)
SPC社のケースでは、23%の顧客が何らかの疑問や不安を抱えていることがわかりました。しかし、その中身を調べると、ほとんどが質問でクレームは少なかったのです。FAにとって、質問はビジネスチャンスになります。それでは、SPCがこのような仕組みをどのようなきっかけで作り上げたのでしょうか?
7~8年前、SPC社は興味深いアンケートを実施しました。その内容は、「顧客に対してやってはいけないことは何ですか?」というものでした。結果として、「顧客の資産を守る会社であれば、安心・安全という言葉を簡単に使わないで欲しい」という意見が得られました。このアンケート結果から、SPCは戦略を大きく転換し、金融セミナーにおいても安心・安全という言葉に頼らず、顧客と対話することに焦点を当てました。
その後、SPCはタウンホールミーティング形式に切り替え、質疑応答の時間を多く設けることで、積極的に顧客からの質問を受け付けるようになりました。その結果、SPC社は顧客との対話を作り出すことに成功しました。対話力はコンタクトセンターが持つべき重要な役割の一つです。
特に現代では、消費者ニーズの多様化により、多品種少量生産が進む中で、顧客がどの商品を選ぶべきか迷うことが多くなっています。顧客の購買をサポートするためには、彼らが商品に興味を持った理由や目的を対話を通じて理解することが重要です。多品種少量生産が生み出した次の課題として、消費者との対話を築き上げることが求められています。コンタクトセンターはこの点を得意としているため、今後どのように取り組むかが分かれ道になります。
カスタマーディライトと『神対応』は何が違う?
カスタマーディライトは、顧客が予想以上の感動や満足を得られるサービスを提供することを目指す考え方です。一部では「カスタマーディライト=神対応」と誤解されることがありますが、実際はその意味はもっと広い範囲に及びます。
神対応という言葉は、特定の状況下でのスタッフや企業の素晴らしい対応を表すものである一方、カスタマーディライトは顧客のニーズや期待を超えるサービスを体系的かつ継続的に提供することを指します。カスタマーディライトは、企業全体の取り組みとしてポジティブな顧客体験を創造し、顧客のロイヤルティや口コミによるリピートや新規顧客開拓を促進することに焦点を当てます。
つまり、カスタマーディライトは神対応だけで構成されるものではなく、全体的なサービスやサポート体験を向上させる努力や継続的な取り組みを意味します。企業は、カスタマーディライトの概念を理解し、それを実践することで顧客満足度を高め、持続可能な成長を達成することができます。
実証的データ.1
以下はアメリカの調査データで、どのようなサービスが顧客のロイヤルティに最も影響を与えるのかを調べたものです。
神対応に相当する部分は、調査結果の中で「顧客の事前期待をはるかに超えたサービスを受けた」という項目ですが、ロイヤルティへの影響度は最も低いことがわかりました。
最も効果が高いとされるサービスは、トラブルを回避する情報の提供、顧客にとって得になる情報の提供、また顧客のニーズに合った新製品やサービスの情報提供でした。これらの取り組みは、デジタルコミュニケーションを介しても実現可能であり、顧客が企業に信頼感を抱くきっかけにもなります。
この調査結果からわかるように、神対応だけが顧客のロイヤルティに影響するわけではありません。より重要なのは、顧客のニーズや期待に応える適切なサービスや情報の提供であり、そのような取り組みが顧客と企業との信頼関係を築くことにつながります。
実証的データ.2
こちらもアメリカの調査データです。一般消費者を対象に、過去半年間の顧客体験に関するアンケートを実施し、その体験が好意的だったのかを分析したものです。
その結果、「熱意」が最も顧客ロイヤルティに影響することが分かりました。熱意とは、コンタクトセンターのオペレーターだけでなく、店舗スタッフやFAQなどのデジタルな体験にも現れる要素です。この調査結果はアメリカのものですが、熱意は日本でも同様に最重視される要素です。
神対応も上位にランクインしていますが、時間や手間がかかるため、コストが高くなり、頻繁に提供することが難しいのが現状です。一方で、熱意は比較的コストがかからず、効果的に顧客にアピールできる点があります。そのため、今後は熱意をどのように示すかという研究が重要になると考えられます。また、透明性や誠実さも顧客に大きな影響を与える重要な要素です。
例えば、FAQを作成する際にも、熱意・透明性・誠実さを意識して文章を書くことで、顧客への成果が大きく変わることが期待できます。企業はこれらの要素を意識し、顧客へのサービス提供やコミュニケーションに取り組むことが、顧客ロイヤルティ向上につながります。
顧客を感動させる具体的な要素とは?
顧客を感動させる具体的な要素として、アメリカではユーモアが増えてきています。日本においても受け入れられるかどうかは分からないものの、重要なメッセージをわかりやすく、面白く伝えることが感動を引き出す一つの手法です。
最近では、飛行機に乗る際に見られる安全ベルトの締め方の指示動画が、楽しくエンターテインメント性のあるものになっているのがその好例です。このように、ユーモアを交えることで、顧客にとって印象に残るような体験が提供でき、感動を引き起こすことが期待できます。
カスタマーディライトの実践方法とは?
カスタマーディライトを実践するにあたり、何から手をつけるべきか?
カスタマーディライトの実践は、CX関連データ(アンケートやCRMから抽出されたデータ)と、顧客属性、具体的な取引データを組み合わせて仮説を検証することから始めましょう。従来、RFM分析が一般的でしたが、RFMだけでは見えないことが多いため、痛点やディライトの発生頻度など、さまざまなCX関連データを活用することが重要です。
自社の置かれている環境によって課題設定は変わる
インターネット系サービスの場合は、データで計測しやすいため(例えば、サブスクリプションやBtoB SaaSなど)、ゴール設定と現状のギャップがわかりやすく、課題設定が比較的簡単です。例えば、問い合わせが減っていても、他の数値が伸びていれば問題がないと判断できます。また、会員登録後、1ヶ月以内に○○の機能を使っていない場合、継続率が低くなるため、活用支援する必要があります。
一方、それ以外のサービスの場合は、販売後の顧客状況把握の難易度が高くなるケースが多く、関係性構築の場所(例えば、スマホアプリなど)を模索しながら、アンケートベースで顧客状況を把握して課題設定を行う必要があります。また、顧客の状況が把握しにくい環境の場合は、より一層『コンタクトリーズン』からの顧客洞察が重要になります。
まとめ