AI導入に際して、社内で出てくる反対意見や疑念はどうやって説得すればいい?

カラクリ編集部

2019.06.04

AI

AI導入の際に出てくるおもな疑念や反対意見

AIの導入検討段階で、まずは自社のどの分野で活用でき、どのようなメリットが得られるのか明確にすることが、導入をスムーズに進めるためのカギになります。

ですが、社内には当然AIに詳しくない方も多くいるでしょうし、また巷で話題になりがちな「AIは人間の仕事を奪う」という言説から、AIにネガティブな印象を持っている方もいるでしょう。

こうした方々が抱きやすい主な疑念や反対意見として、以下の3つが挙げられます。

  • AIによって、人間の仕事が無くなってしまうのでは?
  • 本当に効果があるの?
  • 専門的で難しそうだけど、ちゃんと運用できるの?

こうした意見を十分に解消できず、せっかくAI導入の話が出ても検討段階で頓挫してしまう企業が少なくありません。まずは、こうした反対意見の説得材料として、自社と似たケースの導入事例をできるだけ多く集めて、実際に効果のあったケースを提示してみるのが良いでしょう。

以下では、上記3つの意見を説得する場合を想定してみます。

1.AIによって、人間の仕事が無くなってしまうのでは?

AIと人間

AIに対して最も抱きやすい印象が「人間の仕事を奪う」ことでしょう。こうした言説を裏付けるデータは確かに存在し、英国デロイト社が平成26(2014)年に発表した調査によると、今後20年以内に英国中の仕事のうち35%が自動化可能になると予測されています。

しかし同時に、AIによって、人的コストや時間のかかる業務を効率化できるのも事実で、AIを使って削減できた時間や労働力を使い、より付加価値の高い仕事に専念したり、従業員の負担を減らしてストレスを軽減したりすることができます。

例として、NTTコミュニケーションズ株式会社が導入しているAIチャットボットが挙げられます。同社のサイトでは「COTOHA Chat&FAQ」というチャットボットがカスタマーの質問に自動回答するシステムを導入しており、全問い合わせのうち38%が集中するラッシュ時間には特に効果を発揮しています。

これによって、平成29(2017)年1月の導入以来、Web経由の問い合わせ総数は4倍に増加しました。チャットボットのみの対応では不十分な場合、人間のオペレーターとのやり取りに切り替わりますが、人間による対応率は63%も減少しています。これは同社の場合、人件費に換算すれば毎月20万円の削減となります。

このように、AIが「人間をサポートする強力な助っ人」として提示することは、とても重要になります。

2.本当に効果があるの?

24時間

一口にAIと言っても様々な分野で活用されているため、実際に何ができて、何ができないのかは中々分かりづらいものです。

このため、AIに対して過剰な期待を抱いたり、もしくは効果を疑ったりしてしまいがちですが、まずは自社のどの分野でAIが活用できるのかを見極めて、その上でAIにできることを明確にすることが重要です。

カスタマーサポートを例に挙げると、AIは問い合わせサービス、ヘルプデスク、対話サービスなどで利用可能で、主にチャットボットとして導入されています。

チャットボットの効果や導入例は上記でもご紹介しましたが、これ以外にも問い合わせの自動化によって24時間365日対応可能になること、また土日や深夜などの時間帯でも対応できることがメリットとして挙げられます。

現在、チャットボットサービスを導入している企業は多くあり、実際に得られた効果を数値と共に紹介している事例が沢山あります。また、チャットボット以外でも、AIが活用できる分野で、類似例を数値などのデータと共に挙げることができれば、相手の疑念の解消に役立つでしょう。

また、チャットボットサービスの中にはお試しプランだったり、最小コストで始められるプランもあったりするので、まずは特定分野の顧客サポートにチャットボットを導入して効果検証してみるのも大いに効果的です。なかなか効果が見えづらい分野かと思われますので、チャットボットサービス提供ベンダーに一度相談してみるのもありかと思われます。

3.専門的で難しそうだけど、ちゃんと運用できるの?

AI技術というと、ディープラーニング(深層学習)や自然言語生成など、専門用語がたくさん出てきます。

こうした技術はどうしても専門的であるため、AIは「難しくて取っつきにくい」という印象を抱きがちです。この場合、具体的な専門技術に関してはプロに任せるのが一番でしょう。

AIのプロ

もちろん、自社でAI開発チームを抱えているのが一番ですが、そうではない企業の方が大半でしょう。そのような場合は、外部の開発企業に任せるのがベストです。

チャットボットを例に取ると、現在ではチャットボットを提供する国内のベンダー企業が多くあり、こうした企業にはAIの専門家が複数います。

たとえば「KARAKURI」(チャットボット)では、「カスタマーサクセスチーム」がAI導入体制の構築から運用のサポートを行なってくれます。目的に沿った業務設定から、導入後も成果を出すための管理・分析や施策立案まで、密なサポートを受けることが可能です。

このように、AIサービスの開発や運営などを一貫して行ってくれる企業は沢山あります。自社のニーズに応じた様々なサービスを比較検討してみるのが良いでしょう。

まとめ:自社に置き換えて考えてみる

AIを導入することで、効率化や省人化などの様々なメリットが得られた実例は数多くあります。同時に「人間の仕事が無くなる」といった言説などによって、AIに対してネガティブな印象を抱いたり、効果を疑ってしまう方がいます。

社内でAIを導入する際、まずはこうした疑念や反対意見を説得しなければなりませんが、様々な実例を挙げながらAIがもたらすメリットを説いていくことで、こうした意見を一つひとつ解消していく必要があります。

検討段階で、こうした意見をうまく解消できずにAI導入が頓挫してしまうのは非常に残念なことです。まずは、しっかりとした事前リサーチと、自社のどの分野にAIが適用ができるのかそれによって得られるメリットは何なのかを明確にすることから始めてみましょう。


カラクリ編集部

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