RPAとは
RPAはRobotic Process Automationの略語で、簡単に言えば「自動化されたロボットが一部業務をこなせるシステム」のことです。
たとえば、シナリオと呼ばれるロボットに任せる動作を設計すれば「人間がブラウザからデータを収集しエクセルに見やすくまとめる」といった作業も効率的にミスなく実行できるのがポイントです。
AIとの違い
RPAと合わせて注目される技術としてAIが挙げられますが、AIはあくまでも要素技術であり、RPAとは異なる概念です。
AIという言葉は一概に定義するのが難しいですが、AIが「自己学習」するのに対し、RPAは「指定した動作しかしない」点は大きな違いの一つです。
また、AIは学習した内容から、より優れた作業手順や効率的な作業内容を提案してくれる場合もあります。
一方でRPAは、指定した動作しかしないため、効率的な方法があったとしても、提案することはありません。
RPAは3段階に分かれており、高いクラスになるほどAIに近づき、人工知能に基づく自動化ができます。一般的なRPAは最も低いクラスに位置しているため、人間が指示したこと以外は、手出しができないのです。
RPAに注目が集まる背景
RPAが注目されるのは、働き方改革の推進、慢性的な人手不足といった企業環境が変化し、企業の生産性を高める必要性が高まっているためです。
そのほかにも、海外企業がより早くRPAの導入を進めていたことにより、グローバルな取引で日本企業が負けてしまわぬよう、RPAが積極的に導入される背景もあります。
RPA導入により生産性の向上が見込めるため、ムダに人員や賃金を支払い続けるより、働き方改革にもなるRPAを積極的に導入するべきとされているのです。
RPA導入によるメリット
業務効率の向上
RPA導入により、業務効率の向上を見込めます。人間が介在しないとできない仕事は行えませんが、機械的に作業をすることをRPAは得意としているため、人間では時間がかかっていた作業もロボットが行えば、24時間365日行わせることもできるメリットがあります。
人為的なミスがなくなる
人間が作業すると単純ミスをしてしまうことがありますが、RPAではロボットが自動的に作業するため、人為的なミスはもちろん、ミスそのものを減らせます。
ただしRPAを導入してもミスが完全にはなくならないというのがポイントです。その理由が先にも述べたとおりRPAは「指定した動作しかしない」ため、自動化されたロボットが誤った動作をする指示設計であればミスが発生し、指示は正しくとも何らかのバグがあればミスが発生してしまうこともあります。
しかしながら、人為的に発生するミスとは違い、RPAでは運用さえしっかりとすればミスが激減するため、ダブルチェックも不要となり、最終的には業務効率の向上にもつながるのです。
RPA導入のポイント
目標設定の精度を高める
RPA導入のポイントとして、「なんのためにRPAを導入するのか」という目標設定を明確にし、精度を高くしたRPA導入検討をするべきです。
RPAができることは幅広く、コピー&ペーストのような単純作業から、複数のソフトウェアにまたがる複雑な作業までこなせます。
しかし、効率的とは言えない作業のためにRPA導入を進めようとすれば、あなたが全決裁権を持っていないかぎり、上層部からストップがかかってしまうことでしょう。
そのような事態を避けるためにも、またより効率のいいRPA運用をするためにも「目標設定」は欠かせません。なにを目標とするのか決めるのが、RPA導入最初のポイントです。
自社に最適な製品を見極めよう
RPAには無料で使えるフリーウェアから有償のサービスまでありますが、自社のサービスに最適な製品を見極めることもポイントです。
たとえば、自動応答機能を持たせたRPA製品を導入したのに、そのRPAにコピー&ペーストの単純作業を任せようとするのにはムリがあります。
逆にコピー&ペーストしか実行させないのに、高価で多くのことができる製品を導入しても、今後のためにはなるでしょうが、すべての機能を活用することは難しいです。
RPAを導入する際には、自社の目的を見極め、実現するための機能は何か?どの程度の予算で、どれだけの投資対効果を求めるのかをきちんと整理しましょう。
運用体制を整える
RPAは製品を導入して終わりではなく、運用し続ける必要があります。運用の際には人件費やサーバー代などのコストが発生します。
また、バグや障害への対応も必要になるので、利用するRPA製品はもちろん、プログラミングの知識もあるのがベストです。
運用体制が整っていないと、RPAの導入が終わっても、思ったとおり機能しないまま終わってしまいます。
自社に運用チームを置けない場合、他社に運用を依頼する代行サービスを検討するのも一つの手でしょう。
RPA導入事例
RPA導入で年間100時間の業務短縮に成功
RPA導入で年間100時間もの業務短縮に成功したある企業では、大量の業務があり人間だとミスも発生しダブルチェックや修正の手間がRPA導入の背景にありました。
RPA導入後はミスもなくなり、年間130時間かかっていた作業を30時間に抑えられ、RPAが業務短縮に貢献したのです。
導入に際しては、コストパフォーマンスも重視していますが、現場での使いやすさを重視しています。
あくまでもRPAを使うのは現場で作業をする従業員であり、前よりも作業が面倒になっては意味がありません。また小規模から始められるRPAが最適だと考えられたため、小規模でも使いやすいRPA運用を決定しました。
事務作業の自動化で大幅な作業時間カットに成功
また別の企業では、RPA導入により、人力でひと作業約2~3分かかっていたものが、ロボットが代行すると、たった20秒ほどで完了する上に、ミスもなくなりました。
さらに、該当の作業をしていた人員は、別の作業ができるようになり、事務作業の自動化で大幅な作業時間カットに成功したと言えるでしょう。
自社に最適なRPAを導入して業務効率化を
RPAは導入したら終わりではなく、導入のメリットを見極め、上手に運用しなければいけません。
業務効率化を目指す場合には、これまでに紹介したポイントを把握し、人間が抱えるミスを減らせるシーンはないのか、という基本的なところから導入によるメリットを探るといいでしょう。
RPAの導入が決まっても、自社に最適な製品を見つけないと、高いコストを払うばかりになってしまうこともあるため、紹介した事例にもあったとおり、小規模からでも始められるRPAも視野に入れると効率的です。