顧客満足度とは?その概念と歴史・計測方法
まず、顧客満足度とはどのようなもので、どういった指標で表すことができるのでしょうか。
顧客満足度とは
顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)とは、与えられた商品やサービスから、顧客がどれだけ満足をしたかを測る指標です。
言い換えれば、顧客満足度は、顧客がサービスを受ける前に抱く期待を、サービスを受けた後の評価がどれだけ上回ったか(下回ったか)を数値化した指標とも言えるでしょう。
顧客満足度の概念と歴史
諸説ありますが、顧客満足度の概念・考え方は欧米を中心に1980年代ころから普及し始めたと言われています。
1970年代、欧米諸国ではモノを作れば売れる製品志向のマーケティングが主流でした。しかし、1980年代にはこの考えが行き詰まり、顧客(消費者)のことをよりよく理解し、彼らが求める商品・サービス開発を目指す顧客志向のマーケティングが重視されるようになりました。
現在では、多くの企業が商品・サービス開発に消費者の声を生かすため、定期的に顧客満足度を調査するようになっています。
顧客満足度と顧客ロイヤリティの違い
顧客満足度から派生した概念が、顧客ロイヤリティ(顧客ロイヤルティ)です。
顧客ロイヤリティは、1990年代ころに誕生・普及したとされ、顧客満足度だけでは測れない顧客が抱く企業に対しての愛着や忠誠心を測る指標です。
商品やサービスがさらにコモディティ化した近年のマーケティングでは、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との良好な関係を継続維持することが重要とされています。顧客ロイヤリティは、顧客満足度からさらに発展した指標として理解しておくべき指標と言えるでしょう。
顧客満足度指標を測定する方法
顧客満足度を測定する際にはどのような方法・手法があるのでしょうか。一般的に用いられるのが「アンケート」です。顧客満足度という、姿かたちのない感情的・感覚的なものを可視化するため、顧客に対してアンケートを実施し、アンケート結果を集計、分析し、数値化します。
顧客満足度を想定する3つの指標
顧客満足度を測定する際には、さまざまな指標が用いられます。今回は、顧客ロイヤリティを測定する指標のNPS、顧客満足度を測定する指標のCSIとJCSIについて解説します。
- ネットプロモータースコア(NPS)
- 顧客満足度(CSI)
- JCSI
NPS(Net Promoter Score)
NPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)とは、企業やサービスに対する信頼度や愛着を数値で表したものです。
NPSは、顧客満足度から派生した考え方「顧客ロイヤリティ(ロイヤルティ)」を数値化するための指標です。近年、継続して収益の改善を目指す企業が増えています。
NPSでは、回答者に「あなたはこの商品を家族や友人にどの程度おすすめしたいと思いますか」という質問を投げかけ、0〜10点で点数を付けてもらいます。
つぎに、点数をもとに、回答者を「推奨者」「中立者」「批判者」の3つに分類します。
- 0〜6点の場合:批判者
- 7〜8点の場合:中立者
- 9〜10点の場合:推奨者
NPSは推奨者の割合から批判者の割合を引くことで求められます。計算式は次のとおりです。
- NPS=(推奨者の割合)ー(批判者の割合)
つまり、推奨者が60%、批判者が50%だった場合、NPSは+10となります。
CSI(Customer Satisfaction Index)
CSI(Customer Satisfaction Index)とは、アメリカを中心に約30か国の政府機関から提出されている顧客満足度指標です。
CSIを使った調査は、相関関係のある複数の質問を実施し、その結果の平均値をとることで、信頼できる数値を調査します。
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)
JCSIとは、前述のCSI(Customer Satisfaction Index)を日本語版にカスタマイズした顧客満足度指標です。
このJCSIは、サービス産業生産性協議会が調査主体となって実施している日本最大級の顧客満足度調査です。毎年、サービス産業の約30の業種を対象に調査を行っており、スコア上位企業の調査結果ランキングが公表されています。
具体的には、次の6つの指標に関するアンケート調査をします。
- 顧客満足
- 顧客期待
- 知覚価値
- 知覚品質
- 推奨意向
- ロイヤルティ
このように、多面的なデータ分析をしたうえで比較できるため、顧客の不満理由や行動について、因果関係を見つけだせます。
また、企業の利益改善のための具体的な動きも検討でき、対象となる業界の傾向も把握できます。
JCSIによる顧客満足度は、次の式で計算されます。
- 顧客満足度 = 顧客が感じた値(P) - 事前期待値(E)
この計算から、次の2パターンの結果を導き出します。
P > Eの結果であれば、顧客は満足感を満たしている
P < Eの結果であれば、顧客は満足感を満たしていない。
この計算式をもとに、6つの指標による質問からJCSIの調査アンケートが作られていく流れになっています。
顧客満足の指標について理解し、使いこなそう
顧客満足度や、そこから派生した顧客ロイヤリティは顧客志向のマーケティングを実現するうえで重要な考え方です。
顧客ロイヤリティを計測するNPSのほか、毎年公開されているJCSIの指標などを正しく理解し、商品・サービス開発につなげていきましょう。