コールセンターのDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されている理由

Tamura Yusuke

2020.06.18


事業をグロースさせる、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)とはスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した「ITを生活に浸透させることによって生活は豊かに、あらゆる方向でより良く変化させることができる」という概念です。DXによって生活を支えるあらゆる仕組みや価値観を変革させていくことが期待されています。

コールセンターのDXを推進すべき理由

新型コロナウィルスによる感染防止対策のため、出勤制限や在宅での顧客対応が余儀なくされ、コールセンターやカスタマーサポートのDX推進も注目を浴びています。またこの緊急事態に関わらずとも事業者がDXを推進する主な目的は以下の3つが挙げられます。

1.顧客体験向上

2.業務効率化

3.事業の最適化

ユーザーに利益をもたらすことはもちろん、DXによって事業やサービスをより良いものにすることが可能です。

DXを成功させる「3つのデジタル化」

事業会社のカスタマーサポート部門やコールセンターがDXを行う際のキーワードとなるのが「コミュニケーションのデジタル化」「プロセスのデジタル化」「統計・データのデジタル化」という3つのデジタル化です。

それぞれにメリットがありますが、この3点を並行して推進することで相互作用により、より高い効果が期待できます。それぞれのメリットを見ていきましょう。

コミュニケーションのデジタル化

まず「コミュニケーションのデジタル化」について。サービスのDXと聞いて多くの方が想像するのは、顧客との接点であるコミュニケーションのデジタル化ではないでしょうか。

中でもトレンドになっているのは「問合せチャネルのデジタル化」です。具体的には、電話のみで行っていたサポートをメールで対応する、FAQを充実させてユーザーの自己解決率をあげる、チャットボットの導入によりコミュニケーション自体を自動化させることなどが挙げられます。

マルチチャネルの行動は日常生活を送る上ですでに当たり前のことになっており、カスタマーは企業に対していつでもどこでも対応してもらうことを期待しています。Salesforceのリサーチによると、実に55%のカスタマーが従来のチャネルよりもデジタルチャネルを好み、40%のカスタマーが「ユーザーが望むチャネルを選択できない企業とは取引をしない(※)」と考えています。好まれるチャネルは、ユーザーの年代や志向性によっても異なる上、「不具合が発生したときは、電話で手厚いサポートをしてほしい」「夜中でも即時に対応してくれるチャットが良い」など問い合わせ内容も様々。ユーザーが状況や気分に合わせてチャネルを選択できるよう各企業は取り組む必要があるでしょう。

※出典:「第3版コネクテッドカススタマ−の最新事情」Salesforce research」

また、昨今は電話のようなユーザーの時間を拘束する同期型コミュニケーションの非効率性が見直さる傾向にあります。DXを推進する際、まず取り組むべきはコミュニケーションのデジタル化だといえるでしょう。

プロセスのデジタル化

次に「プロセスのデジタル化」について。これはデジタルツールの導入によって「業務効率化」を行うことです。具体的には以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • 業務オペレーションのデジタル化
  • マネジメント体制・ツールのデジタル化
  • セキュリティ体制のデジタル化

プロセスのデジタル化は、一朝一夕で解決するものではなく、壮大な課題といえます。たとえば電話対応においては、コールリーズンを把握することからスタートしなくてはなりません。コールセンター、カスタマーサポートのリモートワークを推進するという観点からもプロセスのデジタル化は重要です。非常に難易度が高いですが、業務全体のデジタル化に成功している企業は、コールセンターやカスタマーサポートのリモート化にも成功しています。カスタマーサポートをリモート化するためには、顧客管理システムをクラウドで管理できるシステムや、バーチャルリモートデスクトップを導入するなど、どこにいてもカスタマーサポートができる環境への投資が鍵となりそうです。

統計・データのデジタル化

統計・データのデジタル化はサービスのグロースに大きく寄与します。コールセンターやカスタマーサポートの領域ではこうしたデータの運用はSalesforceやトレジャーデータが担うことが多いです。

カスタマーサポートの対応データを蓄積・分析する仕組みを作ることで、オペレーターをはじめとした顧客対応に携わる人材を適切に教育・評価することが可能となります。また、一つの評価軸でオペレーションを均質化するのではなく、

  • 問い合わせ対応の品質(クオリティ)
  • 顧客からのアップセル・クロスセルの機会創出
  • 顧客の解約率
  • 適材適所の人材配置

といった複数の軸を掛け合わせることで、顧客満足度の向上に繋げることができます。つまり顧客満足度向上に必要なのは、均一のオペレーションではなく、状況に応じた対応により、すべての顧客に同じ満足度を提供することが重要です。この視点は、カスタマーサポートを行う全ての事業に当てはまるのではないでしょうか。

つまり、データのデジタル化は単に管理を効率化するだけでなく、お客様から得た情報を用いて既存顧客のLTV向上やリテンションに貢献するというメリットにつながります。

3つのデジタル化の掛け算で、DXの実現を!


これまでの話から、顧客満足度向上や業務効率化に、コールセンターやカスタマーサポートのデジタルシフト化が欠かせないことはご理解いただけたのではないでしょうか。重要なのは、DXを成功させるために、この3つのデジタル化どれか1つでも欠けてはいけないということです。たとえば「統計データのデジタル化×コミュニケーションのデジタル化」によって、はじめてパーソナライズドされたオンライン接客が実現します。それぞれのデジタル化の相互作用によって、新しい価値が生み出される、これがコールセンターの目指すべきDXです。

Tamura Yusuke

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