今回チャットボットを導入するのは、新たに2022年11月21日より開始された「ORBISアプリ」内サービスの『肌カ.ル.テ』とオルビス公式オンラインショップです。
オルビスの国内事業売上構成比のうちEC比率は6割を超えており、アプリ会員数は460万人、MAU(月間アクティブユーザー数)は60万人(2022年10月末時点)。
アプリでは、ECや店舗のポイント管理機能に加えて、美容に関する記事やAIが解析する分析コンテンツサービスを拡充させるなど、アプリを通じて顧客のブランド体験価値を創出してきました。
そして、新たなアプリ内サービス『肌カ.ル.テ』では、よりお客様一人ひとりの美容の成功体験を積み重ねていくことを実現するために、これまで以上にパーソナライズされたコンテンツを提供していきます。この度は、新サービス『肌カ.ル.テ』にカスタマーサポート特化型AIチャットボット「KARAKURI chatbot」、有人チャット「KARAKURI talk」を導入しました。
弊社は、2017年頃から本格的にチャットを導入し、チャットツールはKARAKURIで3社目になります。当初はボットのみでしたが、2020年のコロナ禍で従来の対面接客が困難になったことをきっかけに、顧客体験の向上とBCP対策の一つとして有人チャットサービスを展開してきました。
しかしながら、本人確認を行う仕組みがなかったため、お客様の問い合わせ内容の把握に時間がかかったり、本質的な解決策の提示に至らず、チャットでご用件を伺っても、最終的にはお問い合わせフォームや電話窓口を案内せざるを得ないケースが発生していました。
また、自社の運用体制の課題から、ボットの運用をアウトソースしていたこともあり、チューニング頻度は月1回程度。キャンペーンやトラブルなどの突発的な問い合わせ増に対し、柔軟に対応することが難しい状況が続いていました。
『肌カ.ル.テ』では、美容のプロにスキンケアの疑問やお悩みをすぐに相談できるような、つまりデジタル上であっても“人肌感”があり、よりパーソナライズしたリッチな体験の提供をしたいという構想もあり、アプリのアップデートのタイミングでアプリにもチャット導線を設けるとともに、これまで設置していたサポートページのチャットも同時にリプレイスすることを決断しました。
導入の決め手は大きく3つあります。
まず、パーソナルなデジタル接客を叶えるために欠かせない機能を搭載していた点です。
具体的には、チャットの会話ログに個人情報を残さず、ツール上で安全にお客様の個人情報をやり取りできる、フォーム機能が標準機能として備わっていたことです。これにより、自社内のCRMツールでお客様の情報を確認しながら、コミュニケーションを取ることが可能となりました。
2つめは、管理画面のUIがわかりやすく、感覚的に操作できることです。
新商品の発売や各種キャンペーン、トラブルなどにより、お問い合わせが急増することもありますが、分析から会話やシナリオの検討、トレーニングまでの一連のチューニング作業をツール上でワンストップにて可能なうえ、習得が容易で経験の浅い担当者であっても短時間で作業ができるため、現場でPDCAサイクルを行いやすいと感じました。
リリース直後のチューニングの中で、キャンペーンに関するお問い合わせが増え始めていることに気づき、さっそく回答を追加対応してみました。後日レポートを確認すると、想定以上の回数利用されていることがわかり、素早いチューニングがお客様のお役に立てたことを実感すると同時に、問い合わせ削減の効果も発揮することがよくわかりました。
最後に、オペレーター間でのコミュニケーションもツール上でスムーズにできることです。一部のオペレーターたちは、リモート勤務をしていますが、「離れた場所にいるオペレーター同士や管理者と相談しながら対応可能なので安心できる」と好評です。
以上の3つが乗り換えの決め手になりました。
私たちは『肌カ.ル.テ』アプリを通じて、お肌の悩みに寄り添い、日々のスキンケアをサポートしていく美容伴走型のコミュニケーションを目指しています。その中で、チャットの役割は今後さらに大きくなっていくと考えています。
『肌カ.ル.テ』では、スマートフォンで顔写真を撮影するだけで、オルビスが培ってきた美容理論に基づいてAIが肌状態を分析し、分析結果に基づいてスキンケアコースを選んでいただくことで、お手入れ方法やアドバイスを日々ご提供。おひとりお一人にぴったりの美容習慣をサポートします。このようなデジタルで実現する「分析」と「スキンケアコース」の中で、チャットはお客様がリアルタイムで相談できる、いわば「美容のパーソナルトレーナー」のような役割です。
お肌の状態は、天候や身体のサイクル、生活習慣など様々な要因で日々変化していきます。そのような変化の中で生まれる不安や疑問に対して、美容のプロであるビューティアドバイザーが対応する有人チャットと、オルビスの美容理論を詰め込んだチャットボットを組み合わせることで、様々なお悩みを速やかに解決することを可能にしました。
今後は、よりお客様に寄り添いながら悩みを解決するために、『肌カ.ル.テ』で分析いただいた結果や、カウンセリングデータなどをチャットツールとシームレスに連携し、ビューティアドバイザーによるカウンセリングの質を高めていくことを考えております。
また、チャットボットで応対できる美容相談についても、お問い合わせいただいた内容を分析しながら、日々アップデートを加えることで、よりスピーディーにお悩みに対する答えにお客様自身で辿り着いていただけるよう進めてまいります。デジタル上でのコミュニケーションでありながら、店頭でのカウンセリングに引けを取らない接客を目指し、「お肌で悩んだらオルビスに相談しよう」と思っていただける体験を実現していきたいです。
【取材に対応していただいた方々】
オルビス株式会社 CRM統括部 コンテンツ・教育企画グループ グループマネジャー 太刀川 侑希氏
オルビス株式会社 CRM統括部 CX戦略グループ 中村 秀輔氏
オルビス株式会社
本社:東京都品川区平塚2-1-14
設立:1984年6月
従業員数:1,124名(2021年12月末現在)
事業内容:化粧品、栄養補助食品、ボディウェアの企画・開発および通信販売・店舗販売