サポート担当者に余裕が生まれ、モチベーションも向上 | ピクシブ株式会社(BOOTH)

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pixiv(BOOTH)について

ピクシブは、イラストや漫画を中心にしたソーシャル・ネットワーキング・サービス「pixiv」を提供するインターネットサービス企業だ。ユーザーが自分の作品を同社サイトへアップロード、これを通じて同好の士とコミュニケーションできる特別な空間である。

 そして同社はユーザーの創作活動を支援するショップ作成サービス「BOOTH」を展開している。2013年12月にスタートして5年を待たずに、出品ユーザー数、購入ユーザー数の累計利用者数が100万人を突破した。直近では、ショップをパワーアップさせる機能拡張サービス「BOOTH Apps」を開始した。そこでは、出品ユーザーが特定のユーザーにだけ作品を公開できる「シークレット公開」機能を提供しており、今後もユーザーのニーズに合わせてさまざまなアップデートを予定している。ほかにも、商品の保管や発送作業を代行する倉庫サービスや、個人情報の取り扱いを気にすることなく商品の受け渡しが行える「あんしんBOOTHパック」といった機能を提供している。

 上記のように、同社には出品ユーザーと購入ユーザーが存在し、そのWeb問い合わせにカスタマーサポート担当者が5名体制で対応にあたっている。問い合わせ件数は、サービス成長と相関して増加の一途をたどっていた。サイト上にはヘルプも用意しているが、BOOTHユーザーは比較的年齢層が若く、文章を読むよりも直接問い合わせすることを好む傾向がある。それもあってサポート担当者一人が一日約40件の問い合わせを担当し、残業も余儀なくされる状態だった。

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人でなくても対応可能な問い合わせをAIに振り分けて、サポート担当者の時間を捻出したい

KARAKURIを導入したきっかけ

「サポート担当者は、カスタマーサポート以外にもサービスの改善施策もこなしており、余裕を持って問い合わせ対応ができるのは担当者あたり一日20件程度です。サービスが伸びれば問い合わせ件数が増えるのは当然のことで、それ自体は大歓迎なんですが、このままずっとサポート担当者を増やし続けていくのかという点に疑問を感じ始めていました。」

「問い合わせの中には、既存の回答をコピー&ペーストするだけの単純な内容もあり、その繰り返しで担当者のモチベーションが下がることも懸念していました。」

状況を打開しようと考えた大きなきっかけは、カスタマーサポート部門が売上を伸ばすために、出品ユーザーを支援する販促施策に力を入れる必要性が出てきたことだった。そのために、人でなくても対応可能な問い合わせをAIに振り分けて、サポート担当者の時間を捻出したいと考えた。

優れたUXによる運用の容易さとCSの知見力でKARAKURIを選択

市場調査を開始したのは2018年5月。4社4サービスを候補に挙げ、比較検討した結果、pixivはカラクリが提供するカスタマーサポート特化型AIチャットボット「KARAKURI」の採用を決定した。鈴木氏は選定の理由を次のように語る。

KARAKURIはサービスのUXが最もこなれていました。他社もプログラミング不要ではあったんですが、マウス操作に固執するあまり1件の回答を作成するのにかえって時間がかかりました。KARAKURIが3分で済むとしたら倍以上の時間が必要で、『これでは日々の運用で疲弊してしまう』と思いました。また、カラクリスタッフはカスタマーサポート業務に関する深い知見があり、きめ細かいアドバイスを受けられました。“質問と回答の作成はお客様作業”とはっきりスコープを限る他社とは大きく違っていたのです」

 同年6月中には正式採用を決定し、翌7月から本格的に導入作業を開始した。同社は8月1日には本番運用に入りたいと考えていた。8月中旬には世界最大の同人誌即売会であるコミックマーケットが開催される。ここはpixivにとっても繁忙期に当たるため、その前にぜひ対策を講じておきたかったのだ。 第1フェーズとして、問い合わせ件数が多く、出品ユーザーよりさらに年齢層が若い購入ユーザーを対象とすることにした。最初の質問・回答セット作成プロセスを、ピクシブ株式会社 クリエイター事業部 コミュニティマネージャー 海瀬香里氏は次のように回想する。

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サポート業務のコスト上昇を抑制し担当者のモチベーションも向上

「初めてのAI導入ということでまったくの手探り状態だったんですが、既存のヘルプページや問い合わせ対応のログデータを元に、カラクリ側でAIに登録する会話データのたたき台を作ってくれるというサポートを提供してくださいました。こちらでは回答のひもづけ方や表現を微修正するだけで済んだので、これはとてもありがたかったです」

こうした協業体制が功を奏して、約1か月という短期間で導入作業は完了。8月1日には問い合わせ対応におけるAI活用が本格的に開始した。

 現在、問い合わせフォームページでは、「ヘルプ」「チャットボット」「フォームによる問い合わせ」のうち、ユーザーが好きなサポート方法を選べるのだが、問い合わせ件数とチャットボット対応数にほとんど差がない状態だという。

 日々の運用という点では、海瀬氏が新しく寄せられた質問に対し回答を作成しているが、毎日5分かかるかどうかの軽微な作業にとどまっているという。海瀬氏は導入効果を次のように語る。

問い合わせ件数の上昇が緩やかになりました。今回対象とした購入ユーザーに関しては、問い合わせという行動を起こす前にAIチャットボットで問題が解決できるようになったのではないかなと思っています。これによってサポート担当者が複雑な問い合わせに対してじっくり取り組めるようになり、残業からも解放されました」

鈴木氏は海瀬氏を補足して次のように語る。

「問い合わせ対応に余裕が生まれ、人材採用を考え続ける状態を脱却できたことを喜んでいます。それはそのままカスタマーサポート部門のコスト抑制にもつながっています。また、AIに仕事を振り分けることにより、サービス創造や出品ユーザーの支援など、人間にしかできないことに集中できる点にもメリットを感じています」

 今後は、正答率や問い合わせのカバー率でKARAKURIの精度をさらに向上させていくのが当面の目標だ。年齢層の若いユーザーは発想が自由で、若者ならではの造語や表現などもあり、100%先回りして対応するのは難しい面があるものの、カラクリとの定期的なミーティングを通じてひとつひとつ相談しながら充実させていく予定だ。

 これと並行して、出品ユーザー向けの問い合わせ対応にも着手する。この質問・回答セットは同社で用意するという。カラクリからのスキルトランスファーが順調に進み、AI活用ノウハウが早くも蓄積された模様だ。BOOTHユーザーのお困りごとを解決し、その健全なサービス成長を陰で支えているのは、カスタマーサポートを知り尽くしたカラクリが提供するAIチャットボットだった。




【取材に対応していただいた方々】

ピクシブ株式会社 pixiv運営本部 コミュニティマネージャー 鈴木大介氏
ピクシブ株式会社 クリエイター事業部 コミュニティマネージャー 海瀬香里氏

業種ごとに複数の事例をまとめた導入事例集で
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事例でご紹介した企業

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ピクシブ株式会社

本社:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-23-5 JPR千駄ヶ谷ビル2F
設立:2005年7月25日
従業員数:160名(2018年5月1日現在)*
事業内容:「創作活動が楽しくなる場所」を目指したWebサービスの企画・制作・開発・運営
”BOOTH”サービスページURL:https://booth.pm/ja

”BOOTH”とは?
pixivと連携した、”創作活動がより楽しくなる”ショップ作成サービス。ウェブサイトに関する知識がなくても、個人法人問わず、無料で簡単に自分だけのネットショップを開設することが可能。面倒な決済や発送の代行サービスも提供。pixivと連携すると、pixivでBOOTHに登録した商品のプロモーションを行うことができる。

https://www.pixiv.co.jp/

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