
株式会社ビースタイルホールディングス傘下で、人材派遣事業を展開する株式会社ビースタイルスマートキャリアでは変動する時給相場への対応や、提案の質が経験やスキルに左右されることが営業活動の課題となっていた。市場の変化に柔軟に対応しつつ、誰もが一定水準の提案を行える環境をどう築くか。模索を続ける中で出会ったのが「Generative Navigator(GeN)」。まるでベテラン営業と壁打ちをしているかのように、考えを深めながら提案を形にしていくプロセスに、新たな可能性の手応えを感じていた。
株式会社ビースタイルホールディングスについて
ーまず、株式会社ビースタイルホールディングスについて教えてください
ビースタイルグループは、『時代に合わせた価値を、創造する。』という存在意義 -PURPOSE- のもと、その時代の社会問題や人々の不便を革新的な事業によって解決しようと取り組んでいます。グループの祖業は、ビースタイルスマートキャリアが運営する「しゅふに特化した人材派遣事業」です。育児や介護といったライフイベントを機に、これまで通りに働くことが難しくなったものの、スキルも経験も豊富な「しゅふ層」の方々を対象としたものです。そうした方々が培ってきた能力を再び社会で活かせるよう、「時短派遣」をはじめとする柔軟な働き方で企業と求職者をマッチングするサービスを展開しています。
2024年12月27日には親会社であるビースタイルホールディングスが東京証券取引所グロース市場に上場いたしました。
変動する時給相場への対応と、営業提案の質のばらつきが課題
ーどのような課題を抱えていましたか?
当社の人材派遣事業では、時給相場の変動にどう対応するかが長らくの課題でした。市場の動きは非常に早く、数円単位の違いが提案内容や利益に影響します。そのため、できるだけ鮮度の高い情報をタイムリーに把握できるような仕組みが求められていました。
また、営業提案の内容についても、経験や知識によってその質にばらつきが出てしまう点が課題でした。特に、顧客課題の引き出しや提案への落とし込みといったプロセスでは、一定のスキルが求められるため、対応に差が出やすい傾向がありました。実際、経験豊富なメンバーであれば当社の強みを的確に活かした提案ができる一方で、スキルが十分に身についていない段階では、提案の構築に時間がかかったり、内容が曖昧になってしまうこともあります。こうした状況から、誰でも一定水準の提案ができるような環境を整える必要があると考えていました。
業務に活かせるAIを探す中で見えてきた、GeNの可能性
ー課題に対してどのような解決策を検討しましたか?
AIを活用して業務を効率化できないかと考えていた中で、カラクリさんはAIに強い印象があり、軽い気持ちで相談してみました。「こういうことは可能ですか?」と尋ねたところ、「それならできます」と即答があり、そこから選択肢の一つとして検討を進めることにしました。
同時に、社内でもいくつかの生成AIツールを試したり、求人情報を自動で収集・整理するスクレイピングの導入も視野に入れていましたが、それぞれに運用上の課題や制約があり、現実的ではありませんでした。
そうした中で、業務に合わせて柔軟に設計でき、安定した精度も期待できるGeNに可能性を感じました。

対話を通じて導く仕組みと、安定した出力精度が決め手に
ー GeNを導入した決め手は何でしたか?
一番の決め手は、GeNが備えている“やり取りを通じて情報を深掘りする仕組み”にありました。こちらが情報を入力すると、AIのほうから追加の質問が返ってきて、やり取りを重ねながら最適なアウトプットに導いてくれる。まるでベテラン営業のように、状況に応じて深掘りを重ねながらソリューションを組み立ててくれる点が印象的でした。
また、プロンプト設計の自由度が高く、こちらの思いや方針を“姿勢”として反映できるのも魅力です。単なる回答生成にとどまらず、「どういう視点で考えるか」といったスタンスまでコントロールできる柔軟性は、GeNならではだと感じました。さらに、ユーザーのリテラシーにばらつきがあっても一定の出力クオリティを担保できる点は、現場での展開を見据えるうえでも大きな安心材料となりました。
ー 他のツールとの比較検討はされましたか?
先ほど社内でもいくつかの生成AIツールを試したとお話しましたが、具体的にはChatGPTやGeminiなどを使いました。また、Difyを使って入力フォームを構築し、必要な情報を入力すれば相場データが出力されるような仕組みもつくってみたのですが、いずれも安定した活用には至りませんでした。
特に、人材派遣の相場は「支払い時給」と「請求時給」のように複数の金額が関係しており、それらの関係性や計算方法を正しく理解させるのが難しく、誤差が出たり、回答内容が毎回ばらついたりする問題がありました。
その点、GeNは情報ソースを固定し、意図を正確にくみ取る設計がされているため、やり取りを通じて安定したアウトプットが得られるという安心感がありました。他のツールでは実現できなかった精度と運用性を両立できる点が、導入の決め手のひとつになりました。
提案づくりの壁打ちから、リサーチ・コンテンツ作成まで多用途に展開
ーGeN導入後、どのような場面で活用されているのでしょうか?
現在は、営業メンバーが提案内容を整理・具体化する際の“壁打ち相手”として、GeNで構築したツール「提案くん」を活用しています。
お客様からの相談内容や背景情報を入力すると、GeNが確認すべきポイントや追加の質問を返してくれ、それに答えていくことで、顧客課題に沿った提案が少しずつ形になっていきます。
やり取りを通じて、自社サービスの強みや特性をどう活かすかが自然と整理されていくため、まるでベテラン営業と壁打ちしながら提案を磨いているような感覚があります。ゼロから独力で考える必要がなく、GeNとの対話を通じて必要な視点や構成が引き出されていくことで、提案の精度や説得力が高まりやすく、大きな支援になっています。この仕組みによって、提案づくりが個人の経験に依存せず、少しずつ標準化されつつあります。
ーそのほかに活用している場面があれば教えてください。
営業支援(提案くん)以外にも、GeNはいくつかの用途で活用しています。業務ごとの課題や目的に応じて、GeNでツールを構築し、現場の業務に組み込んで運用しています。現在では、以下のような場面でも活躍しています。
時給リサーチャー(人材派遣向け)
派遣市場における「支払い時給」の相場を把握するためのツール。求人媒体の情報をGeNに読み込ませることで、時給相場を効率的に把握。
年収リサーチャー(人材紹介向け)
人材紹介領域での年収相場の把握に特化したツール。正社員採用を前提とした人材紹介領域において、年収の相場感を把握する目的で運用。
記事コンテンツ作成ツール
提案くんの仕組みを応用して構築した、マーケティング施策向けのツール。あらかじめ自社ソリューションや条件を定義することで、記事コンテンツの生成にも活用。
リード獲得支援ツール
求人依頼の入力内容をもとに、必要な情報を整理し、募集原稿や提案資料を自動で作成できるツール。従来は営業が個別に行っていたヒアリングや資料作成の負担を減らし、問い合わせ直後からスムーズに対応を進められるようにしている。

提案準備の効率化とともに、社内活用の広がりが加速
ーGeNを導入したことで、どのような効果を感じていますか?
GeNの導入によって、業務の質とスピードの両面で変化を実感しています。特に、提案準備にかかる時間の短縮や、検討段階での迷いの軽減は大きな効果のひとつです。
これまでなら、情報を集めて整理し、提案の構成を練るまでに一定の時間と労力を要していましたが、GeNとのやり取りを通じて方向性が自然に整理されるため、初動が早く、提案内容もクリアに固まりやすくなりました。情報の引き出し方や提案の構成に関するナレッジを都度教え込まなくても、GeNを通じたやり取りの中で、ある程度の形に落とし込めるようになっており、結果として提案業務全体の効率が向上しています。
また、GeNを使っていくなかで、「専門的な知識がなくても、実務で使えるツールを自分たちで作れる」という手応えがありました。実際に試してみて成果が見えたことで、他の部署からも「それなら自分たちの業務にも使えそう」といった声があがり、GeNの活用が自然に広がっていきました。結果的に、従来の業務の進め方を見直す動きにもつながっており、AIを業務の中に組み込んでいくことが少しずつ社内に定着しつつあります。
ツールではなく“仕組み”として、業務や事業への実装を見据える
ー今後の展望について教えてください
私はGeNを単なる業務支援ツールではなく、「仕組み」として捉えていて、表面的なアプリケーションとして使うだけでなく、業務オペレーションや社内システムに組み込んで活用できる点に、大きな可能性を感じています。
たとえば、非常にニッチで専門性の高い業務や、応答性能が求められる対応、顧客との直接的な接点が生まれるような場面などでは、積極的にGeNの仕組みを取り入れていけると良いなと思っています。今後も、GeNにしかない強みを当社の事業に掛け合わせながら、実践的な活用を広げていきたいです。
株式会社ビースタイルホールディングス
本社:〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー 32F
設立:2020年2月14日 ※2002年7月5日ビースタイルグループ創業
従業員数:384名(パート含む)(2025年4月1日時点)
業務内容:傘下グループ会社の経営管理、及びそれに付帯する業務
企業公式URL:https://www.bstylegroup.co.jp/
【取材に対応していただいた方】
株式会社ビースタイルホールディングス ビースタイルビジネス研究室 室長 田口 一代氏
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