自販機事業を中心に飲料流通を担うサントリービバレッジソリューション株式会社。スマホアプリの全国展開を目前に控え、問い合わせ急増という現場の逼迫に直面していた。さらに、自販機業界特有の表現や、FAQ更新にかかる多大な工数が、自己解決環境の整備を妨げる要因となっていた。
そこで同社が選んだのは、FAQの更新性と検索体験に優れ、表記ゆれにも強いFAQシステム「KARAKURI smartFAQ」。BtoB・BtoC双方の自己解決率を向上させ、外注体制の見直しや業務効率の改善につながる、現場起点のサポート変革の取り組みを追った。
人手不足とExcel限界がアプリ成長に伴う問い合わせ急増のボトルネックに
ー 当時どのような課題を抱えていましたか?
当社では、新規事業として、スマホアプリと自販機を連携させたサービスの立ち上げを進めていました。プロジェクトは現在5名体制ですが、お客さま対応や加盟店からの問い合わせ対応は、実質的に私1人で担い、そのうち対応に割ける工数は約半分という、極めて限られたリソースで運用していました。問い合わせの一次対応は外部パートナー企業へアウトソーシングし、私はFAQの構築・更新に加え、問い合わせ対応の指示出しを担当しています。
アプリの利用者は着々と増えており、将来的な全国展開を見据える中で、お問い合わせ対応の負荷は急増が予想されていました。さらに、自販機の補充・管理を担当する取引先企業からの新たな問い合わせも日々発生しており、1名でこれらすべてを対応する必要がありました。
当初はExcelで作成したQ&A表をパートナー企業と共有して問い合わせ対応にあたっていましたが、項目が200件を超え、検索性・運用性ともに限界を感じていました。そこで 2025年3月からの全国展開を見据え、問い合わせ対応基盤を短期間で整備する必要があると判断したのが同年1月でした。

また、自販機業界には独自の“方言”があり、「硬貨受付機」「硬貨選別機」「メック」「コインメカ」など、同じ事象を指す表現が多様です。Excelではこれらを網羅するのが難しく、キーワードの揺れに強い検索機能が不可欠でした。
ー 当時、お客さま向けの自己解決用コンテンツは提供されていましたか?
自社ホームページ上にはFAQを掲載していましたが、運用には大きな制約がありました。ある程度の規模を持つ企業に共通する課題かもしれませんが、当社でもWebサイトのコンテンツを自由に更新できない体制となっており、FAQを掲載するには都度コーディングし、複数の社内承認プロセスを経る必要がありました。
そのため、1件のFAQを公開するだけでもHTML形式でのコーディングが必要となり、数万円規模のコストが発生します。さらに、公開までに時間がかかるため、リアルタイムに更新できないという大きなハードルが存在していました。
FAQ更新のしやすさを軸に最適なサービスを検討
ー 課題解決に向けて、どのような対応策を検討されましたか?
まずはFAQシステムを中心に情報収集を行い、複数のベンダーを比較検討しました。チャットボットの提供会社は数多く存在していましたが、FAQの更新・管理に特化したソリューションは非常に限られていた印象です。一時はMicrosoft Power Appsを活用して、社内でFAQアプリを開発することも検討したものの、人的リソースやメンテナンス性の観点から断念しました。最終的に、FAQ運用のしやすさを重視して2社に絞り込みました。
FAQの更新性・検索性・対応力を総合評価しsmartFAQを採用
ー smartFAQを導入する決め手となったポイントについて教えてください
最終的に導入を決めた背景には、FAQの更新性と検索性、そして営業担当者の対応力という三つの要素がありました。
まず、smartFAQは1つのデータベースを更新するだけでFAQ全体に反映されるという仕組みにより、運用負荷を大きく削減できると感じました。また、表現の“揺れ”に対する対応力にも注目しました。類義語や異なる言い回しに柔軟に対応できる点は、FAQの精度と検索体験の質に直結する重要な機能です。
※smartFAQ…カラクリが提供するFAQシステム。自然文検索や検索結果の自動最適化といった機能を備えており、チャットボットとナレッジを一元管理できる点が特長。
さらに印象的だったのは、カラクリさんの営業担当のスピード感と柔軟な対応でした。契約が確定していない段階にもかかわらず、「まずは検証環境を用意するので、実際に使ってみてください」と翌日には環境を提供してくれました。その姿勢から、当社の意思決定のスピードに合わせて伴走してくれるという安心感を得ることができました。わずか2週間ほどで検討から契約までを完了するというスピード感は、当社としても非常に稀なケースでした。
BtoB・BtoC双方で自己解決率が向上し問い合わせを削減
ー 導入時に設定されたKPIと活用方法、現在の成果について教えてください
前提として、smartFAQを活用し、BtoB向けとBtoC向けの2つのFAQサイトを運営しています。両サイトのFAQは一つの管理画面で一元管理しつつ、それぞれの対象に応じてFAQコンテンツを出し分ける運用を行っています。
明確な数値目標(KPI)を設定していたわけではありませんでしたが、問い合わせ対応で実現したかったことはExcelの「その質問、Excelのここに書いてありますよ」をゼロにすることでした。まずはBtoB向けのFAQサイトをローンチしましたが、実際、外部パートナー企業からのエスカレーションにおいて、それがゼロになったのは大きいです。

その後、BtoC向けのFAQサイトをローンチした後、特に効果を感じたのは、一般のお客さまからの問い合わせ傾向に対する可視化と、それに基づく対応精度の向上です。
一般のお客さまからの質問は非常にロングテールで、多様な表現が存在しますが、実際には上位10件程度の質問で全体の8割をカバーできる傾向がありました。そのため、導入にあたってはこの上位質問に対する“質問パターン”を徹底的に作り込み、どのような聞き方をしても、必ず該当するFAQに誘導できるよう設計しました。
※質問パターン…登録されたQAに対し、ユーザーが実際に使いそうな表記ゆれや言い回しをあらかじめ設定しておく機能。これらをAIの学習データとして活用することで、FAQのヒット率を高めることができる。
これにより、これまではFAQに情報があってもユーザーに届かず問い合わせが発生していたケースが大幅に減少しました。完全にゼロになったわけではないものの、体感では問い合わせ数が半分以下に減少したと感じています。また、ユーザーが検索ボックスに入力した語句は管理画面から確認できるため、ニーズの傾向や言い回しの揺れも把握しやすくなりました。
特に印象的だったのは、お客様による表現の違いです。たとえば、「マネー連携の方法がわからない」というお問い合わせ一つ取っても、「マネー連携」「マネー接続」「マネー紐付け」「マネー登録」など表現が異なります。
こうした表現の揺れに対応するため、ユーザーが使いそうなワードを質問パターンとして事前に登録することで、多様な入力に対しても正確に回答に導けるようにしています。
直感的な操作性が使いやすさと業務効率を両立
ー 機能やUIについて、実際に使ってみた印象はいかがでしたか?
管理画面のユーザーインターフェースについては、非常に高く評価しています。特に、画面設計におけるユーザー視点の徹底ぶりには感銘を受けました。チェックボックスにチェックを入れたときだけ必要な入力項目が表示されるなど、ユーザーがその場で何をしたいかを先回りして設計されている点が印象的でした。
一般的に、BtoCのUIはこだわる企業が多いものの、BtoBの管理画面においてここまで丁寧に設計されている例は多くありません。初期表示をシンプルに保ちながらも、必要なときに必要な情報だけを提示する構成は、ユーザー体験を損なわず、業務効率を高める工夫が随所に見られました。このような設計思想は、機能の多さではなく「使いやすさ」を重視する企業姿勢の現れであり、実際に現場の声を聞きながらプロダクト開発が行われているのだろうという印象を受けました。
すべてのユーザーが“FAQでちゃんと解決できる”世界を目指して
ー 今後の展望やサービスへの期待値をお聞かせいただけますか?
現時点でも、smartFAQは非常に完成度の高いプロダクトだと感じています。“欲を言えば”の話になりますが、理想を言うと、世の中のすべてのサービス・製品がKARAKURIを採用してFAQサイトを運営し、そこにアクセスすれば“ちゃんと解決できる”という体験を、日本中のユーザーに広げていってほしいと思っています。

現在、多くの企業が自社でFAQを構築していますが、必ずしも“検索しても期待する回答にたどり着けない”という原体験をユーザーが持っていることが多いと思います。そのような状態では、「FAQで調べよう」とすら思ってもらえず、すぐに電話や問い合わせに流れてしまうケースが少なくありません。
“FAQならKARAKURIだよね”という状態が、世の中の標準になると良いですね。
サントリービバレッジソリューション株式会社
本社:東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー11階
設立:2010年11月
事業内容:自動販売機による各種食品飲料の販売
企業公式URL:https://www.suntory.co.jp/group/sbs/
【取材に対応していただいた方々】
サントリービバレッジソリューション株式会社 マーケティング本部 担当課長 森 新 氏
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