
証券業務特有の煩雑さと、幅広い顧客への対応を求められるコンタクトセンター業務。
大和証券株式会社のコンタクトセンターでは、営業支援を担う中核機能としての役割を果たす一方で、複雑な事務手続きや増加する問い合わせに起因する業務負荷の増大が課題となっていた。
特にメール対応では、定型文運用の属人化やナレッジの分散により、対応品質のばらつきや新人育成の難しさが顕在化。業務の標準化と効率化を両立させる仕組みの整備が急務となっていた。
効率と品質を両立させながら、営業支援機能としてのコンタクトセンターをどう進化させたのか。その取り組みに迫る。
大和証券株式会社について
ーまず、大和証券株式会社について教えてください
弊社は、日本を代表する総合証券会社の一つであり、長年にわたりお客様に信頼される金融サービスを提供してまいりました。全国に広がる支店網を活かし、お客様の多様なニーズにお応えしております。
コンタクトセンターの役割と体制、営業支援を担う中核機能として
ーコンタクトセンターの業務内容について教えてください
大和証券株式会社のコンタクトセンターでは、主にダイレクトのお客さまからの問い合わせ対応や各種事務手続きを担っています。特に、ネット証券とは異なり、取引手続きやオンラインサービスの利用に不慣れなお客さまも多いため、電話による対応が重要な業務のひとつとなっています。
本センターは、大和証券の「顔」として応対を通じてお客様の課題解決をサポートするとともに、「お客様の声を会社に届ける」という重要な役割も担っております。お客様のニーズやご意見を積極的に取り入れることで、さらなるサービス向上に努めております。
業務の複雑さと非効率なメール対応、DXが急務となった背景とは?
ーどのような業務上の課題がありましたか?
コンタクトセンターでは、幅広いお客さまに効率よく対応する必要がある一方で、証券業務特有の煩雑な事務手続きが課題となっていました。特に近年では、NISA(少額投資非課税制度)に関する問い合わせがネット証券を中心に急増。加えて、ログインや注文手続きといった基本操作に関する問い合わせも多く、センターの業務全体が非常に複雑化していました。さらに、市場の相場変動により入電件数が日々変動するため、安定したオペレーションと業務効率の両立が求められていました。

電話対応に加えて、メールによる問い合わせ対応も重要なチャネルです。当社では、対応の質と量のバランスを保つ必要がありましたが、実際の業務では以下のような課題が顕在化していました。
定型文活用がマニュアル化されておらず、個人管理に依存
新人は定型文の活用ノウハウに乏しく、対応に苦労
このように、属人化が進行していたことで、ナレッジ共有が困難になっていました。また、繁忙期に新人を迎えると、教える側もメール対応に追われてしまい、対応の合間を縫って指導せざるを得ないため、一人立ちまでに半年ほどかかっていました。
こうした課題を受け、現場では「ナレッジツールの整備」を強く望む声が上がっていました。特にメール対応チームにおいては、誰でも均質な対応ができる体制の構築が急務であり、業務の標準化と効率化を両立させるために、DXを推進する方針が固まりました。
解決策の検討とナレッジ基盤の必要性
ー課題に対してどのような解決策を検討しましたか?
当初は、さまざまな解決策を模索していましたが、まず課題となったのは、定型文やナレッジを共有するためのインフラが整っていなかったことでした。そのため、最初に取り組むべきは、そうした基盤の構築でした。特に、ある程度パターン化された問い合わせであれば、標準化された定型文を整備することで対応の効率化が図れると考えていました。
そんな中で出会ったのが、KARAKURI assistでした。無償トライアルから始められるという点も後押しとなり、まずは実際に試してみることにしました。
トライアル導入で操作感を体感、「まず使ってみる」ことを重視
ートライアルはどのように進められましたか?
KARAKURI assistのトライアルは2024年11月から開始しました。定量的な効果を測定するにはまだ早い段階だったため、主な目的は導入後の業務イメージを掴んでもらうことでした。トライアルには13名のメンバーが一斉に参加。全員が同じタイミングで利用を開始しました。利用開始当初は、「どう使えばよいのか分からない」といった戸惑いの声も多く、メンバーは慎重に操作を進めていました。そこで、導入初期の1週間はスーパーバイザーが積極的に声をかけ、「まずは使ってみてください」と促すことで利用を後押ししました。

ー定着に向けた工夫や活用を促す仕掛けがあれば教えてください
トライアル当初はショートカットなどの機能よりも、検索を中心としたシンプルな使い方が主流でした。また、初期に登録した定型文はタグの設定が不十分だったため、検索性に課題があり、後からタグを見直す対応を実施したところ、「よりスムーズに使えるようになった」という実感が得られました。タグの設計にあたっては、お客さまから寄せられる質問に対応する回答を想定して文言を登録しています。これにより、検索時のヒット率が高まり、現場の利便性が向上しています。
本格導入後は、定型文活用の定着を促すため、チーム内で定型文の登録件数を競うコンペを実施しました。加えて、期間中に最も多く利用された定型文を登録したメンバーを表彰する仕組みを設け、現場の自発的な活用を後押ししました。オペレーター自ら定型文を登録し、業務に活用していくという主体的な意識を持ってもらうことを目的とした施策でした。定型文の登録を上席者に限定せず、誰でも自由に登録できる仕組みになっている点は、非常に優れた特徴だと感じています。
ー金融機関では回答前に関係部署の確認が必要なケースもありますが、貴社でもそのようなフローはありますか?
もちろんコンプライアンスに配慮したチェックフローはあります。作成したメールは、最終的にコンプライアンスチェックを経て、お客さまに送信されます。また、回答内容によっては、各関係部署へ確認を取りながら作成も行います。定型文として活用されている回答文は、こうした確認プロセスを通過した内容であり、現場では安心して再利用できる仕組みとなっています。
本格運用への移行と初期成果
ー2025年2月より本格運用を開始されましたが、どのような成果が出ていますか?
本格運用にあたり、同年1月の1カ月間で対応した全メール件数について調べたところ、約3割の問合せで定型文を活用できていました。
また、定型文を活用した場合、対応時間は1件あたりの平均で約6分50秒短縮されており、結果として合計で52時間削減されたことも確認しております。
さらなるノンボイス対応の拡張と営業支援への貢献
ー今後の展望を教えてください
今後の展望としては、KARAKURI assistの導入によって対応業務の時間削減が実現できていることを踏まえ、まず新人研修にかかる時間の短縮が一つの目標として挙げられます。さらに、メール対応にとどまらず、チャットなどノンボイスチャネルへの対応拡張も視野に入れています。これにより、お客さまが電話をかけなくても必要な情報にスムーズにアクセスできるようになれば、お客様の体験価値向上に繋がると考えております。
当社全体の経営方針として「お客様の資産価値最大化」が掲げられており、私たちの業務においても、この方針にどのように貢献できるかが常に問われています。その中で、問い合わせ対応の効率化によって営業員の稼働時間を生み出すことこそが、KARAKURI assist導入の大きな意義であり、今後もその活用をさらに広げていきたいと考えています。
大和証券株式会社
本社:〒100-6752 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー
設立: 1999年 4月
従業員数:8,429名(2024年3月期末)
事業内容:有価証券等の売買、有価証券等の売買の媒介、取次又は代理、有価証券の引受等の金融商品取引業及びそれに付帯する事業
企業公式URL:https://www.daiwa.jp/
取材に対応していただいた方々
大和証券株式会社 東京コンタクトセンター第一部 オペレーション課 課長代理 加藤 純平 氏
大和証券株式会社 東京コンタクトセンター第一部 DS3課 メール班 主任 金武 美樹
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