
導入前の課題
2,000行を超える商品データに対し、熟練オペレーターが手書きマニュアルや個人の経験で対応していた
ナレッジが属人化し、後継者への引き継ぎが困難な構造的課題を抱えていた
シナリオ型チャットボットの運用負荷が高く、担当者が疲弊していた
お客様の声(VOC)の中に埋もれた顧客インサイトを十分に活用できていなかった
導入の効果
スキンケア新規事業の顧客接点としてAIチャットボットを設置し、VOC収集の基盤を構築
KARAKURI assistの活用により、対策報告書の理解・詫び状作成が30分から5〜10分に短縮
音声テキストマイニングにより、従来の「申し出分類」では見えなかった顧客インサイトの可視化を開始
AIを「へこたれない万能なアシスタント」として業務に組み込み、少人数でも品質を維持できる体制を実現
きっかけは、新規事業の立ち上げだった
── まず、顧客対応AIエージェント"GeN"導入のきっかけを教えてください。
ちょうど1年ほど前、弊社がスキンケア商品に新規参入するタイミングがありました。以前からいわゆるチャットボットには関心があったのですが、従来のシナリオ型だと構築・運用の工数がかなりかかりますし、費用面でも二の足を踏んでいたんです。そんな中で出会ったのが、カラクリさんの"GeN"でした。従来のチャットボットとは異なり、Webサイトの情報を読み取って回答を案内してくれるので、シナリオを一つひとつ作り込む必要がありません。
スキンケアは既存の家庭紙とは異なる顧客層にアプローチする新しいカテゴリーですので、デジタルチャネルでの顧客接点を充実させる良い機会だと考え、導入に踏み切りました。
「全部できます」ではなく、正直に教えてくれた
── 複数社を比較されたとのことですが、GeNを選んだ決め手は何でしたか?
比較検討の際、各社に同じ資料をお渡ししました。困っていることや抱えている課題を書き出したペラ2枚の紙です。「この中でAIを活用して解決できることはありますか」と投げかけたところ、ほとんどの企業さんが「全部できます」「うちで大丈夫です」という回答だったんですね。
でもカラクリさんは違いました。「こうすればできるけど、それにはお金がかかりますよ」「お金をかけない方法もあるけど、自分たちでやることになりますよ」と、率直に教えてくれた。チャットボットの提案だけに留まらず、私たちの課題全体を見て、「まずはここから始めてはどうか」という段階的な提案をしてくださいました。
あと大きかったのは、すぐにGeNのデモを作ってくれたことです。「ホームページの情報を読みに行って回答しているだけだから、ホームページがきちんと作り込まれていればちゃんと生成してくる。お金もかからない」と仕組みから丁寧に説明してくれて、役員にも実際に体験してもらえました。
導入後の未来が見えたのも大きかったですね。チャットボットを入れて終わりではなく、その先にオペレーター支援やVOC活用といった展開が描けた。早い段階から「本命はオペレーター支援ツールだ」という目論見を持って導入を進めることができました。

件数ではなく「顧客体験」にポイントを置く
── GeNの問い合わせ件数についてはどうお考えですか?
正直、件数にはあまりこだわっていないんです。多くのお客様相談室は、電話やメールの受付件数をチャットに移行させて減らしたいとか、件数の増減を気にされますよね。私たちのゴールはCX(顧客体験)の向上と「ファン作り」です。お客様が気軽に問い合わせをして、答えが返ってくる。それでいいと思っています。医療機器等を扱っているわけではなく、またAIが回答を生成していることを事前にお知らせしていますので、正確性を過度に追求するよりも、顧客の体験価値の方に重きを置いています。
短期間で結果が出るとも思っていません。そもそもネピアにチャットボットがあって問い合わせてみよう、という発想がまだお客様にはないと思うんですよ。1年では効果は見えにくい。でも、例えばキャンペーンを実施した時にチャットボットに問い合わせが来ていたりすると、「あ、チャットボットの存在が認知されたな」くらいの感覚で受け止めています。
AIを「へこたれない万能なアシスタント」として迎え入れる
── KARAKURI assistの活用状況を教えてください。
assistは本当に日々の業務で活躍しています。例えば、工場から上がってくる対策報告書ってすごく丁寧に書いてあるんですが、技術者目線なので読み解くのに時間がかかるんです。以前は30分くらいかけて内容を理解して、そこからお客様向けの詫び状を作成していました。
今は、対策報告書をassistに入れて、「この項目で箇条書きに整理して」と指示を出すと、原因と対策がきれいに整理されて出てくる。理解の時間も含めて5分〜10分で済むようになりました。
プロンプトに対する拒否反応も、うちではほとんどなかったですね。「プログラミングではなくて日本語で指示を出すんだったら、自分たちでもできそうだよね」という感覚で、コピペして少し変えればいいという考え方です。壁打ち会を月に1〜2回やって、同じお題でassistに入れてみて、「あなたの指示のどこが私と違うんだろう」と比較する勉強会もやっていました。
室員にはこう伝えています。「これは人がいらなくなるという話じゃなくて、へこたれない万能なアシスタントが1人増えたということ。性格がわかってくれば、きちんと指示を出せば期待通りの答えを返してくるようになるから、怖がらないで色々やってみたらいい」と。
「申し出分類」の先にある、本当のお客様の声
── KARAKURI CXMの導入背景を教えてください。
音声のテキストマイニングは以前からやりたかったことでした。他社にも相談しましたが、ソフトフォンが前提だったり、データ保存のコストが膨大だったりして、なかなか前に進めなかった。カラクリさんが「ハードフォンでもできますよ」と提案してくれたことで、ようやく実現できました。
VOCの可視化で特に期待しているのは、従来の「申し出分類」の限界を超えることです。例えば、お客様から「7年間ずっと愛用していた商品が近所のお店で買えなくなった。他に買える方法はないか」という電話があったとします。実際の会話にはブランドへの愛着や購買習慣など、たくさんの情報が含まれています。でも、申し出分類をつけるなら「納入店検索」の一言で片付いてしまう。
本題に行くまでの何気ないやりとりの中に、本当は拾うべき声がある。営業へのフィードバックにもなるし、商品開発のヒントにもなり得る。件数が少なくても、せっかくいただいた声をちゃんと使えるようにしたいんです。
CRMシステムの顧客管理とCXMのVOC活用は、視点が少し違います。CRMは「1人のお客様に1つの案件」という管理ですが、CXMでは応対の中に含まれるすべての声を資産として残し、企業として活用できるようにしていきたいと考えています。
熟練者の知見を「会社の資産」として残す
── ナレッジの継承という点ではいかがですか?
弊社は例えば1つのトイレットペーパーでも、複数の工場で製造している場合があり、同じブランド・同じパッケージでも、中身の特徴やロットの打ち方が工場ごとに違うということがあります。商品データはじつに2,000行を超えています。
熟練のコミュニケーターの中には、デジタルカタログを印刷して切り貼りし、「この商品の前身は何だ」「この工場の特徴はこうだ」と、手作りのマニュアルを作っている方もいました。まるで飛び出す絵本のような力作です。でも、その方が辞める時にシュレッダーにかけてしまう。「これは私だけの参考書だから」と。
熟練者が持っている情報は、本来個人のものではなく会社の資産だと思っています。全員で共有すべきだし、後に来る人たちに残すべきです。それを紙やExcelで管理し続けるのはもう限界がある。だから、少し先を見据えながらAIの活用を進めています。

新規事業を「呼び水」に、社内のDXを推進
── 社内でのAI導入推進について、苦労された点はありますか?
会社からお客様相談室に対して「生成AIを活用しろ」という指示が出ていたわけではないんです。ただ、新規事業でスキンケアを始めるタイミングだったので、「化粧品は家庭紙とは違う。顧客対応の体制もしっかり整える必要がある」というロジックで、以前からあたためていたAI導入の企画を通すことができました。限られたリソースの中で、人の採用だけに頼るのではなく、テクノロジーへの投資で一人ひとりの力を最大化するという選択です。
室員にもこう伝えています。「日々の業務に追われるだけでなく、後の人にどう残していくかが私たちの本当の仕事だよ」と。AIの力を借りて業務の質を上げながら、今いるメンバーがより価値の高い仕事に集中できる環境をつくっていきたいと考えています。
これからの展望
── 今後のビジョンを教えてください
今構想しているのは、お客様の自己解決(チャットボット)、オペレーター支援(assist)、音声テキストマイニング(CXM)という今の仕組みを、CRMシステムや商品データベース、納入店検索と連携させていくことです。将来的には、音声ボットで商品の特定や事象の把握までを自動化し、人間が引き取るべき対応だけをオペレーターに渡すような仕組みを目指しています。
人が増えることはどこの会社も期待しにくい時代です。であれば、今いるメンバーのスキルを最大限に発揮できる環境を、テクノロジーの力で整えていく。それが本当のDXなんじゃないかと思っています。
AIは「人がいらなくなる」ものではなく、「今いる人が、もっと価値のある仕事に集中できるようにする」ためのもの。カラクリさんとは、短期の費用対効果と長期の組織変革、その両立を一緒に描いていけるパートナーだと感じています。

王子ネピア株式会社
本社:〒104-8319 東京都中央区銀座5-12-8 王子ホールディングス1号館
設立:1971年3月19日
従業員数:946名(2025年3月31日現在)
事業内容:ティシュ及び紙パルプ加工品、ならびに紙おむつの製造、加工ならびに売買
企業公式サイト:https://www.nepia.co.jp/
取材に対応していただいた方々
王子ネピア株式会社
お客様相談室 藤澤ひろ美 氏
成果の秘訣を知りたい方は資料をダウンロード
無料で相談可能です
機能詳細や、あなたのチームへのベストなプランをプロフェッショナルに相談することが可能です。お気軽にお問い合わせください。
体験会で相談
スペシャリストが疑問にお応えします
日程を確認する
よくある質問
ヘルプページなら今すぐに質問を解決できます
ヘルプページをみる


